『なつぞら』あれこれ「なつよ、夢をあきらめるな」2019-06-02

2019-06-02 當山日出夫(とうやまひでお)

『なつぞら』第9週「なつよ、夢をあきらめるな」
https://www.nhk.or.jp/natsuzora/story/09/

前回は、
やまもも書斎記 2019年5月26日
『なつぞら』あれこれ「なつよ、東京には気をつけろ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/05/26/9077052

ようやくなつはアニメーションの世界に入ることができた。

この週で描いていたのは、次の二点だろうか。

第一には、兄の咲太郎のこと。

咲太郎に悪意はない。いや、非常に強く妹のなつのことを思っている。しかし、それが、時として裏目に出る。アニメーションの会社の入社試験のとき、咲太郎が社長に余計なことを言っていなければ、無事にとおっていたかもしれない。いや、とおっていただろう。

結局、なつは二度目の採用試験をうけて、今度は無事に合格する。アニメーションの世界に入ることができた。その祝いの席で、咲太郎は、本当にうれしそうであった。

悪い兄なのではないが、これから、またひょっとして、その思いが裏目に出ることがあるのかもしれない。このあたりが気になるところである。

第二には、なつの周囲の人びとのやさしさだろう。

新宿の川村屋の人びと、それから、風車の亜矢美……どれも、いい人たちである。アニメーションの会社に入ることになって、なつは風車の方に住まいを移すことになる。だが、川村屋とまったく縁がきれたということはないであろう。雪次郎もいるし、それに、咲太郎はまだマダムに借金があるはずである。

川村屋の人びとも、風車の亜矢美も、みななつには親切である。東京で、これから新たにアニメーションの世界で生きていくことになるなつにとって、これらの人びとのささえが、これから生きてくることになるのだろう。

以上の二点が、この週を見て思ったことである。

ところで、舞台は、東京に移っているのだが、時として、北海道の十勝の家族のことも出てくる。その時に、映る北海道の景色が、なんとも心安まる感じがする。北海道の家族もまたなつのことを思っている。

なつは、裏方の仕事がしたいと語る。アニメーターの仕事も、ある意味では裏方の仕事である。そこに生きがいを見出していくのが、なつのこれからの生き方になるのだろう。

ちょっと気になったこととしては、北海道の夕見子が、東京に電話をかけていたシーン。街角の赤電話から、東京への長距離通話は、この時代(昭和30年代のはじめ)では無理だったのではないだろうか。ここのところが、ちょっと気になった。(私が東京で学生として一人暮らしをはじめたころ、昭和五〇年のころであるが、ようやく一〇〇円硬貨の使える公衆電話……確か色は黄色だったろうか……が登場したのを憶えている。)

次週、いよいよ、なつはアニメーションの世界にはいっていくことなるらしい。楽しみに見ることにしよう。

追記 2019-06-09
この続きは、
やまもも書斎記 2019年6月9日
『なつぞら』あれこれ「なつよ、絵に命を与えよ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/06/09/9083230