『回転木馬のデッド・ヒート』村上春樹2019-06-06

2019-06-06 當山日出夫(とうやまひでお)

回転木馬のデッドヒート

村上春樹.『回転木馬のデッド・ヒート』(講談社文庫).講談社.2004 (講談社.1985)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000203626

続きである。
やまもも書斎記 2019年6月3日
『蛍・納屋を焼く・その他の短篇』村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/06/03/9080420

もとの本が1985年の刊行だから、村上春樹としては、初期の作品ということになる。

「はじめに・回転木馬のデッド・ヒート」……を読むと、これは「小説」ではないとある。そうではなく、「スケッチ」であるという。あるいは、強いて読むならば、「物語」の前段階のもの、とでもいうことができようか。が、ともあれ、短編小説集として読めるようには作ってある。

読んで私が印象に残った作品は、「レーダーホーゼン」である。(どの作品が気にいるかは、人それぞれだろうと思うが。)

ここまでいくつかの短編集を読んできて、村上春樹は、すぐれた短編作家であると思うようになった。たぶん、世評としては、長編小説の方が名高いのだろうと思う。しかし、短篇のなかにつくりだす独自の文学世界というものがある。「小説」という形式でもって……しかも短篇という文学の様式でもって……この世界の一端をきりとって、一つの物語世界を構築してみせる、その手際の良さ、これを強く感じる。

短篇といっても、モームのような、あるいは、O・ヘンリーのような、オチのある話しではない。日常世界のすぐ隣にあるが、気付かずにいるような、ただ、ふとした瞬間に、文学的感性によって感知することのできる文学世界とでもいうことができようか。どの作品も、読み終わったあとに、なにがしかの文学的余韻が残る。

たぶん、現代文学において、少なくとも二〇世紀の文学において、短篇という形式の文学の到達点をしめす作品のいくつかであることは間違いないことだと思う。

つづいて、『パン屋再襲撃』を読むことにする。

追記 2019-06-07
この続きは、
やまもも書斎記 2019年6月7日
『パン屋再襲撃』村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/06/07/9082153

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