NHK『永遠のニㇱパ』2019-07-18

2019-07-18 當山日出夫(とうやまひでお)

このドラマ、2019年7月15日の放送。それを録画しておいて見た。

いかにもNHKで作ったというドラマであるし、また、今の時代になったから作れたドラマである、そのように感じるところがある。批判的に見るならばいくらでも論点はあるかもしれないが、ここはなるべく肯定的に感想など書いてみることにする。

松浦武四郎という人物は、(私の記憶では)これまでほとんどドラマなどに登場することはなかった。北海道探検という観点では、まずは間宮林蔵の名前が思い浮かぶ。これは、学校の教科書に出てきたのを憶えている。だが、松浦武四郎の名前は、どこで覚えただろうか。知ってはいた名前なのだが、このあたりの記憶があいまいである。

その松浦武四郎は、北海道の地誌調査において、アイヌの人びとの実情を知ることになる。そして、終始、アイヌの人びとには好意的である。この松浦武四郎のような人物が、幕府において、また、明治政府において、活躍する場が与えられていたならば、北海道の人びと……特に、アイヌの人びとの歴史……は、また違ったものになっていた可能性がある。

このドラマの最大の意義は、北海道は、明治なってから日本の領土に組み込まれたということの認識であろう。それまで、江戸時代までは、松前藩の、あるいは、幕府の管理するところであったが、同時に、アイヌの人びとの居住する土地でもあった。それを、日本国の領土として国境が確定したのは、明治以降のことになる。(これと同じことが、沖縄についてもいえる。琉球王国であったものが、日本国の沖縄県になったのは、明治になってからである。それまで沖縄は、日本のものではなかった。)

現代ある日本の領土としての北海道が、どのような歴史的経緯で、今のように国土の一部になっているのか、そこのところを考えてみるという観点からは、このドラマは評価されていいのではないだろうか。

無論、さらに考えるべきこととしては、ロシア、あるいは、ソ連との関係がどうであったかという観点も重要になってくるであろうが。

ちょっと残念な気がしたところとしては、幕末から明治にかけてのところで、榎本武揚が登場しなかったことである。だが、しかし、このドラマの枠のなかで、そこまで描くのは無理であったというべきであろう。幕末の戊辰戦争の行方によっては、北海道の歴史は、ひょっとしたら変わっていたかもしれない。

ところで、これを書いている私の机の横、床の上に積んである本のなかに、中村真一郎の『蠣崎波響の生涯』がある。読もうと思っておいてあるのだが(再読)、途中でとまってしまったままである。この夏の間に読んでしまいたいと思う。

さらに余計なことを書いてみるならば、このドラマのタイトルは、『永遠のニㇱパ』である。ここにつかってある「ㇱ」の文字は、「シ」(カタカナ)ではない。その小書き、アイヌ語用の文字である。これは、JIS規格の0213:2000において採用された。このアイヌ語用の文字が、NHKという全国的なメディアでつかわれたのは、希有なこととすべきかもしれない。