『なつぞら』あれこれ「なつよ、笑って母になれ」2019-08-18

2019-08-18 當山日出夫(とうやまひでお)

『なつぞら』第20週「なつよ、笑って母になれ」
https://www.nhk.or.jp/natsuzora/story/20/

前回は、
やまもも書斎記 2019年8月11日
『なつぞら』あれこれ「なつよ、開拓者の郷へ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/08/11/9139694

この週は「母」を描いていた。

第一には、風車の亜矢美のこと。

咲太郎は、光子と結婚することになる。また、新宿の再開発で、風車の店はたたむことにもなる。このような状況にあって、亜矢美は、なつや咲太郎の前から姿を消すことになる。それはなぜか。このあたりの描写が、見方によっては説明的すぎたかもしれない。

煙カスミが言っていた……亜矢美は、光子に嫉妬したくなかったからである、と。たぶん、この理由はそのとおりなのであろう。光子に咲太郎を託すにあたって、同時に、亜矢美は咲太郎への思い……それは、浮浪児だった子どもを育ててきた経緯もある、そして、その咲太郎は今や一人前の大人になっている……その思いが、様々に錯綜するところにはちがいない。

これを、説明的に語ってしまっていいのか、あるいは、視聴者の創造力にまかせるだけの方がいいのか、このあたりは、ドラマの作り方としては、判断のむずかしいところかもしれない。

だが、ともあれ、その錯綜した心情を、山口智子は見事に表現していたと言っていいだろう。

第二には、なつの妊娠のこと。

なつと一久との間に子どもができる。母になることはうれしい。しかし、このままアニメーションの仕事を続けることができるかどうかは、また別問題である。

どうやら会社の方針としては、子どもができた女性社員は、契約ということになるらしい。今のことばでいえば、非正規雇用である。ここで、なつは、子どもができても、アニメーターとしての仕事をつづけたいと決意をかためる。それを、夫の一久も指示する。さらには職場の同僚たちも、そのなつの意志を支援する。

このあたり、昭和四〇年代のはじめのころの、職場労働環境としては、労働組合をとおしての交渉ということではないようだ。ただ、なつのアニメーションにかける熱意に、まわりの人びとも動かされているというように描いてあった。

働く女性、そして、その結婚、妊娠、子育て、これらをどう社会全体として支援することが必要なのかは、今まさに今日の日本の大きな課題である。この観点において、なつの生き方は、開拓者であるといえよう。はたらく女性の開拓者を描くことが、このドラマであるならば、まさに、そのようになつは生きている。

以上の二点が、この週の見どころかと思う。

それにしても、週のはじめで、咲太郎と光子が結婚するという展開になったのには、ちょっと驚いた。このドラマの最初、光子が登場したときは、なにか謎めいた女性という雰囲気であったが、いつのまにか、咲太郎と対等のつきあいをするようになっていたようだ。年はどうやら光子の方が上のようだが。

次週、いよいよなつに子どもがうまれるらしい。楽しみに見ることにしよう。

追記 2019-08-25
この続きは、
やまもも書斎記 2019年8月25日
『なつぞら』あれこれ「なつよ、新しい命を迎えよ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/08/25/9145203