『ティファニーで朝食を』村上春樹訳2019-09-12

2019-09-12 當山日出夫(とうやまひでお)

ティファニーで朝食を

トルーマン・カポーティ.村上春樹(訳).『ティファニーで朝食を』(新潮文庫).新潮社.2008 (新潮社.2008)
https://www.shinchosha.co.jp/book/209508/

続きである。
やまもも書斎記 2019年9月9日
『村上春樹雑文集』村上春樹
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/09/09/9151272

村上春樹の翻訳を読んでいくということで手にしてみた。この作品、小説よりも映画の方が有名かもしれない。オードリー・ヘップバーンの主演で映画化されていることは、私でも知っている。だが、その映画を私は見ていない。

読んで感じることは、いくら映画を見ていないといっても、読みながら、どこかで、主人公のホリーに、オードリー・ヘップバーンのイメージを重ねて読んでしまっていることに気付く。それほどまでに、(見てはいないとはいえ)映画となっていることの影響は大きい。

だが、やはり、ここは、オードリー・ヘップバーンという女優のイメージから離れて、この作品におけるホリーの人物像に焦点をあてて考えてみるべきだろう。ある意味で、とても魅惑的とでもいうべき女性として描かれている。小悪魔というようなことばが、読みながら頭のなかをよぎった。おそらく、小説に描かれた女性ということで、魅力を感じる女性は誰かというようなことを考えてみるならば、ホリーはかならずはいるにちがいない。

そして、この小説全体に感じる、アメリカのある時代の、ある都市のもっていた雰囲気。これは、西欧の文学といっても、ヨーロッパの文学には無いものかもしれない。新興の国のもつ若々しさ、でありながら、退嬰的でどこか投げやりな感じのする、どうにも表現できないような、アメリカという国の都市。

ある時代の、ある都市の、ある登場人物のこと……それを読んで、やはりこの作品が、古典的な位置にあることを感じるところがある。それを、村上春樹の訳文は、見事に描き出していると言っていいだろう。

次は、『象工場のハッピーエンドである』。

追記 2019-09-13
この続きは、
やまもも書斎記 2019年9月13日
『象工場のハッピーエンド』村上春樹・安西水丸
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/09/13/9152879

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