『決定版 夏目漱石』江藤淳 ― 2019-10-07
2019-10-07 當山日出夫(とうやまひでお)
江藤淳.『決定版 夏目漱石』(新潮文庫).新潮社.1979(2006.改版) (1974.新潮社)
https://www.shinchosha.co.jp/book/110802/
私が、江藤淳の『夏目漱石』を読んだのはいつのころのことだったろうか。確か、高校生のころだったかと記憶する。『夏目漱石』を読み、それから、確か講談社だったろうか、著作集のいくつかを買って読んだのを憶えている。飼っている犬の話し、それから、アメリカ滞在のことなど、興味深く読んだことを思い出す。
「則天去私」ということばは、あるいは、江藤淳の『夏目漱石』を通して憶えたのかもしれない。ともあれ、江藤淳より以前、漱石を語るときの定番として「則天去私」があり、それを、若き江藤淳が粉砕した、という経緯は、はっきりと意識して読んだかと思う。
漱石の主な作品は、高校生のときに読んでいたのだが、それと平行して、江藤淳の著作についても読んでいた。そのせいであろうか、私の漱石についてのイメージには、「則天去私」は無い。そのかわりに、江藤淳の『夏目漱石』のイメージが、強く残っている。
江藤淳は一九九九年に亡くなっている。そのとき、たしか永井荷風について書いた本だったろうか、読みかけであった。訃報に接して、本を閉じた。その後、その本は再びひらくことがなく今にいたっている。また、その後、特にそう意図したつもりはないが、江藤淳の書いたものを読むのを避けてきたようなところもある。
が、その死後、二〇年が経過して、再度、手にとってみたくなった。というのも、最近のこととして、次の本が出た。
平山周吉.『江藤淳は甦る』.新潮社.2019
https://www.shinchosha.co.jp/book/352471/
もう江藤淳は過去の人になってしまったのか、という思いがある。まだ、私のなかでは、コンテンポラリーな存在なのであるが。
その主な著作など読みなおしてみたくなって、手にしてみた。そして、そこにある「夏目漱石」のイメージを確認しておきたかった。それは、とりもなおさず、私の「夏目漱石」についてのイメージを形成した重要な存在だからでもある。人間として生き、悩んでいた漱石の姿がそこには描かれている。私が、若いときから、おりにふれて漱石の作品を読んできた、その原点が、そこにはあると確認できる。
ただ、最後の方になって、晩年の漱石と社会主義との関係については、どうかなと思うところがないではない。だが、『明暗』における「小林」という人物の存在は、やはり、どことなく気にかかる。
これから、漱石の作品など、読みなおしていきたいと思っている。それから、書簡集を読んでおきたい。「全集」(岩波版)は持っているのだが、これまで書簡集のところまで読んではきていなかった。そして、江藤淳の著作についても、主なものについては、読みなおしてみたいと思っている。
https://www.shinchosha.co.jp/book/110802/
私が、江藤淳の『夏目漱石』を読んだのはいつのころのことだったろうか。確か、高校生のころだったかと記憶する。『夏目漱石』を読み、それから、確か講談社だったろうか、著作集のいくつかを買って読んだのを憶えている。飼っている犬の話し、それから、アメリカ滞在のことなど、興味深く読んだことを思い出す。
「則天去私」ということばは、あるいは、江藤淳の『夏目漱石』を通して憶えたのかもしれない。ともあれ、江藤淳より以前、漱石を語るときの定番として「則天去私」があり、それを、若き江藤淳が粉砕した、という経緯は、はっきりと意識して読んだかと思う。
漱石の主な作品は、高校生のときに読んでいたのだが、それと平行して、江藤淳の著作についても読んでいた。そのせいであろうか、私の漱石についてのイメージには、「則天去私」は無い。そのかわりに、江藤淳の『夏目漱石』のイメージが、強く残っている。
江藤淳は一九九九年に亡くなっている。そのとき、たしか永井荷風について書いた本だったろうか、読みかけであった。訃報に接して、本を閉じた。その後、その本は再びひらくことがなく今にいたっている。また、その後、特にそう意図したつもりはないが、江藤淳の書いたものを読むのを避けてきたようなところもある。
が、その死後、二〇年が経過して、再度、手にとってみたくなった。というのも、最近のこととして、次の本が出た。
平山周吉.『江藤淳は甦る』.新潮社.2019
https://www.shinchosha.co.jp/book/352471/
もう江藤淳は過去の人になってしまったのか、という思いがある。まだ、私のなかでは、コンテンポラリーな存在なのであるが。
その主な著作など読みなおしてみたくなって、手にしてみた。そして、そこにある「夏目漱石」のイメージを確認しておきたかった。それは、とりもなおさず、私の「夏目漱石」についてのイメージを形成した重要な存在だからでもある。人間として生き、悩んでいた漱石の姿がそこには描かれている。私が、若いときから、おりにふれて漱石の作品を読んできた、その原点が、そこにはあると確認できる。
ただ、最後の方になって、晩年の漱石と社会主義との関係については、どうかなと思うところがないではない。だが、『明暗』における「小林」という人物の存在は、やはり、どことなく気にかかる。
これから、漱石の作品など、読みなおしていきたいと思っている。それから、書簡集を読んでおきたい。「全集」(岩波版)は持っているのだが、これまで書簡集のところまで読んではきていなかった。そして、江藤淳の著作についても、主なものについては、読みなおしてみたいと思っている。
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