『頼むから静かにしてくれ Ⅰ』レイモンド・カーヴァー/村上春樹(訳)2020-01-25

2020-01-25 當山日出夫(とうやまひでお)

頼むから静かにしてくれ(1)

レイモンド・カーヴァー.村上春樹(訳).『頼むから静かにしてくれ Ⅰ』(村上春樹 翻訳ライブラリー).中央公論新社.2006
http://www.chuko.co.jp/tanko/2006/01/403495.html

続きである。
やまもも書斎記 2020年1月11日
『村上ラヂオ3』村上春樹・大橋歩
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/01/11/9200606

ようやく春休み、というわけでもないが、後期の授業が終わったので、レイモンド・カーヴァーの作品を手にした。村上春樹訳である。この『頼むから静かにしてくれ』は、レイモンド・カーヴァーの最初の作品集とのこと。これを、二分冊にして刊行してある。

まずは、第一冊目からである。レイモンド・カーヴァーという作家は、アメリカの二〇世紀後半、七〇年代あたりを中心として、その社会の日常生活のなかにある、不条理、不安、やるせなさ、とでもいうべきものを、あざやかなタッチで描いた作家ということになる。(ただ、このように思って読むのは、村上春樹の解説にひかれてということもあるかもしれないが。)

ここしばらく、村上春樹からも、また、その翻訳作品からもすこし遠ざかっていた。だが、ちょっと時間が空いたが、この作品を手にして、まさに、レイモンド・カーヴァーの文学世界のなかに引き込まれるような感覚になる。

「Ⅰ」を読んで気にいったのは、「60エーカー」。ふとヘミングウェイを思い浮かべて読んでしまった。解説によると、やはりこの作品は、異色の作品であるとのこと。そして、レイモンド・カーヴァーは、この作品のような方向性には、結局向かうことがなかった。

(同じことを繰り返し書くことになるが)たぶん、村上春樹が訳していなければ、私は、レイモンド・カーヴァーの作品を読まずに過ごしていたかもしれない。訳者で、本を選んで読むというのも、一つの方法であろうとは思う。

つづけて、「Ⅱ」を読むことにする。

2020年1月23日記

追記 2020-02-01
この続きは、
やまもも書斎記 2020年2月1日
『頼むから静かにしてくれ Ⅱ』レイモンド・カーヴァー/村上春樹(訳)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/02/01/9208924