『スカーレット』あれこれ「いとおしい時間」2020-03-08

2020-03-08 當山日出夫(とうやまひでお)

『スカーレット』第22週「いとおしい時間」
https://www.nhk.or.jp/scarlet/story/index22_200302.html

前回は、
やまもも書斎記 2020年3月1日
『スカーレット』あれこれ「スペシャル・サニーデイ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/03/01/9219318

この週で描いていたのは、武志の病気のこと。

近年の朝ドラで、人が年をとること、また、病気になるということをじっくりと描いたものは珍しいのではないだろうか。それをこのドラマでは、女性陶芸家というヒロインを設定しながらも、一人の人間としてどのように生きていくのか、というあたりのことを深く掘り下げて描いている。

結局、武志は白血病ということなのだが、元気でいられる時間はそう長くないようだ。この武志についての喜美子の母親としての思い、その揺れうごくこころのうちを、丁寧に描写していたと感じる。

そして、この喜美子の思いをとりまく周囲の人びと……八郎であり、照子であり、また、陶芸教室であったり、このあたりの周囲の人びとのことも、きちんとあつかってあった。これは、この前の週が、異例のスピンオフであったこととも関連するだろう。先週の放送では、これまでの信楽での喜美子の一家の生活が、信作や百合子の視点を通じて、きめこまやかに描かれていた。

それをふまえて、この週の武志の病気のことにつながっている。

このドラマ、信楽初の女性陶芸家という側面をあつかってのストーリー展開かと思ってみていたのだが、そうではないようである。ここにきて、女性陶芸家ということは影をひそめている。むしろ、一人の人間として、母親として、どのように生きていくか、このところが扱われている。

さて、これから武志の病気はどうなるのだろうか。気になるところである。次週以降の展開を楽しみに見ることにしよう。

2020年3月7日記

追記 2020-03-15
この続きは、
やまもも書斎記 2020年3月15日
『スカーレット』あれこれ「揺るぎない強さ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/03/15/9224356