『地獄変・偸盗』芥川龍之介/新潮文庫 ― 2020-03-27
2020-03-27 當山日出夫(とうやまひでお)
芥川龍之介.『地獄変・偸盗』(新潮文庫).新潮社.1968(2011.改版)
https://www.shinchosha.co.jp/book/102502/
続きである。
やまもも書斎記 2020年3月26日
『羅生門・鼻』芥川龍之介/新潮文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/03/26/9228228
先に読んだ『羅生門・鼻』にひきつづき、いわゆる「王朝物」を収める。この本では、そのなかでも、芥川の後期の作品を収録してある。
収録してあるのは、
偸盗
地獄変
竜
往生絵巻
藪の中
六の宮の姫君
読んで感じるのは、小説家として成熟していった芥川の語りの巧さである。先の『羅生門・鼻』に収録の作品は、どちらかというと、近代の理知がかっていたという印象がある。それに対して、この本に収録されている作品を読むと、近代の理知というよりも、小説としての面白さというか、語りの巧みさとでもいうものを感じるようになる。読みながら、ふと小説世界のなかにひたってしまっていることに気付く。
「偸盗」を読んだのは、中学生のころだったろうか。最近では、Kindle版の芥川全集でも読んでいる。だが、今回、新潮文庫版で読んでみて、その物語的な面白さに気付いた。特に、沙金という女性をめぐる物語として、この作品はいい。
「地獄変」。これは、芥川の代表作であろう。この作品に、芥川の芸術家としての、その趣向のおもむくところを読みとることができるかもしれない。
「藪の中」。この作品は、もうこの芥川の作品であることを離れて、「藪の中」ということばが、日本語のなかに定着してしまっている。また、黒澤明の『羅生門』が、これを原作にしていることは、いうまでもない。
今回、読んでみて感じることは……真相がどうであったかは知り得ない、ということもあるが、それぞれの登場人物の語り口の巧さを味わうという印象が残った。それぞれの語り口のなかにしか、真実はありえないのかもしれない。
2020年3月14日記
https://www.shinchosha.co.jp/book/102502/
続きである。
やまもも書斎記 2020年3月26日
『羅生門・鼻』芥川龍之介/新潮文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/03/26/9228228
先に読んだ『羅生門・鼻』にひきつづき、いわゆる「王朝物」を収める。この本では、そのなかでも、芥川の後期の作品を収録してある。
収録してあるのは、
偸盗
地獄変
竜
往生絵巻
藪の中
六の宮の姫君
読んで感じるのは、小説家として成熟していった芥川の語りの巧さである。先の『羅生門・鼻』に収録の作品は、どちらかというと、近代の理知がかっていたという印象がある。それに対して、この本に収録されている作品を読むと、近代の理知というよりも、小説としての面白さというか、語りの巧みさとでもいうものを感じるようになる。読みながら、ふと小説世界のなかにひたってしまっていることに気付く。
「偸盗」を読んだのは、中学生のころだったろうか。最近では、Kindle版の芥川全集でも読んでいる。だが、今回、新潮文庫版で読んでみて、その物語的な面白さに気付いた。特に、沙金という女性をめぐる物語として、この作品はいい。
「地獄変」。これは、芥川の代表作であろう。この作品に、芥川の芸術家としての、その趣向のおもむくところを読みとることができるかもしれない。
「藪の中」。この作品は、もうこの芥川の作品であることを離れて、「藪の中」ということばが、日本語のなかに定着してしまっている。また、黒澤明の『羅生門』が、これを原作にしていることは、いうまでもない。
今回、読んでみて感じることは……真相がどうであったかは知り得ない、ということもあるが、それぞれの登場人物の語り口の巧さを味わうという印象が残った。それぞれの語り口のなかにしか、真実はありえないのかもしれない。
2020年3月14日記
追記 2020-03-28
この続きは、
やまもも書斎記 2020年3月28日
『蜘蛛の糸・杜子春』芥川龍之介/新潮文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/03/28/9228879
この続きは、
やまもも書斎記 2020年3月28日
『蜘蛛の糸・杜子春』芥川龍之介/新潮文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/03/28/9228879
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