『戦争と平和』(一)トルストイ/岩波文庫2020-04-18

2020-04-18 當山日出夫(とうやまひでお)

戦争と平和(1)

トルストイ.藤沼貴(訳).『戦争と平和』(一)(岩波文庫).岩波書店.2006
https://www.iwanami.co.jp/book/b248226.html

以前に、読んだときのことは、

やまもも書斎記 2016年9月9日
トルストイ『戦争と平和』
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/09/09/8175825

このときは、新潮文庫(四冊)で読んだ。今回は、岩波文庫(六冊)で読んでみようと思う。

『復活』を何気なく読んだら、『戦争と平和』を読んでみたくなった。岩波文庫で、同じ藤沼貴の訳で出ている。

やまもも書斎記
『復活』(上)トルストイ/岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/03/05/9220796

『復活』(下)トルストイ/岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/03/06/9221152

この『戦争と平和』については、光文社古典新訳文庫で、望月哲男訳が刊行になる。現在(二〇二〇年二月)の時点では、第一冊目が刊行になっている。これでも読んでおくつもりでいるのだが、『復活』と同じ訳者ということで、岩波文庫版でも読むことにした。これは、新しく訳したものである。

第一冊目を読んで思うことは、次の二点であろうか。

第一には、『戦争と平和』を読むのは、二回目(あるいは三回目になるか)であるが、今回は、登場人物の心理のうちによりそって読めるように感じる。以前に読んでいるので、だいたいのことは一度読んで、頭にはいっている。といっても、複雑多岐な登場人物の細部を憶えているということはないのであるが。しかし、全体としてどんな小説であるかは、分かっている。今回は、それをじっくりと未読しながら読むことになる。

そうすると、一九世紀のロシアの貴族……これを、二一世紀の日本において読んで、そのこころの動きに共感するところを感じる。まさに「文学」なのである。

些細なことかもしれないが、岩波文庫版には、登場人物の一覧が、本のはじめの方についている。ときおり、これを参照しながら読んで行く。まあ、ある意味では、この一覧に名前の出てこない人物のことについては、読み飛ばしてしまうことにもなるのだが。

ピエールの、アンドレイの、ニコライの、このような登場人物の心の動きを感じ取りながら読むことができたかと思う。

第二には、これは、おそらくロシアにおける国民文学なのであろうということがある。私は、ロシア文学には不案内である。今日のロシアにおいて、トルストイがどのように読まれる作家であるかは知らない。

しかし、読んでいって、ナポレオンとの戦争のことを描いたこの小説は、まさにロシアの人びとの今の生活につながるものとしてあるのだろう……このようなことを感じる。日本において、このような国民的な文学があるだろうか。明治の夏目漱石の作品がそうかもしれない。あるいは、司馬遼太郎の『坂の上の雲』がそうであるのかもしれない。

以上の二つのことが、とりあえず第一冊目を読んで思うことなどである。

ただ、今回読んでみてであるが、戦争の戦闘シーンについては、今一つ理解が及ばないと感じるところがある。ナポレオン時代の戦争のあり方と、現代の我々のもっている戦争のイメージが、どうもうまくつながらない。この小説において、戦争の描写が重要な意味を持っていることは、以前に読んだときのこととして、理解はできるのだが。

ともあれ、続けて第二冊を読むことにしようと思う。

2020年2月29日記

追記 2020-04-25
この続きは、
やまもも書斎記 2020年4月25日
『戦争と平和』(二)トルスト/岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/04/25/9238990