『エール』あれこれ「家族のうた」2020-06-14

2020-06-14 當山日出夫(とうやまひでお)

『エール』第11週「家族のうた」
https://www.nhk.or.jp/yell/story/week_11.html

前回は、
やまもも書斎記 2020年6月7日
『エール』あれこれ「響きあう夢」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/06/07/9254958

この週は、福島が舞台であった。そして、家族の物語であった。

見ていて思ったことしては、次の二点ぐらいだろうか。

第一に、父の死。

故郷にかえった裕一は、家族や仲間にあたたかくむかえられる。そのなかでも、裕一の成功を一番によろこんでいたのは、父親の三郎だった。しかし、すでに三郎は病魔におかされていた。気丈にふるまってはいたものの、自分の死期が近いことを覚悟していたようである。

その父が、最後に、裕一にたのみごとをする。家の土地、財産を、次男の浩二にゆずってくれ、とのことであった。裕一は、それを快諾する。

このあたりの描き方、余命いくばくもない父と、その子どもという関係がしみじみと描かれていたと感じる。

第二に、浩二のこと。

久しぶりに会ったのに、弟の浩二は、裕一に対してかたくなである。これは、それなりの理由があってのことなのだろうが、見ていて今一つ、このあたりの心情に共感するところがなかったというのが、正直なところである。

しかし、その浩二も、最後に父が亡くなってからは、裕一と和解したようでもある。

以上の二点が、見ていて思ったことなどである。

さらに書いてみるならば、浩二は、呉服屋をたたんで、役場で農業関係の仕事をしている。さて、このころ、日本の養蚕業はどうであったのだろうか。世界恐慌の後であり、日本は、中国大陸へ手をのばしていたころである。このあたり、養蚕をやめてリンゴ栽培にきりかえるということの時代的背景が描かれていると良かったと感じるのだが、そこのところがなかった。

そういえば、すでに時代は、昭和戦前の日中戦争の時代へと向かうころであるはずである。この世相、時代というものを、このドラマはどう描いていくことになるのだろうか。裕一の音楽も、時代とともにあったということなのだと思う。

ところで、次週は、特別編のようだ。さて、どのような展開になるのか、これは楽しみに見ることにしよう。

2020年6月13日記

追記 2020-06-21
この続きは、
やまもも書斎記 2020年6月21日
『エール』あれこれ「アナザーストーリー」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/06/21/9259767