『風と共に去りぬ』(三)マーガレット・ミッチェル/岩波文庫2020-06-18

2020-06-18 當山日出夫(とうやまひでお)

風と共に去りぬ(3)

マーガレット・ミッチェル.荒このみ(訳).『風と共に去りぬ』(三)(岩波文庫).岩波書店.2015
https://www.iwanami.co.jp/book/b247595.html

続きである。
やまもも書斎記 2020年6月12日
『風と共に去りぬ』(二)マーガレット・ミッチェル/岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/06/12/9256641

『風と共に去りぬ』の映画を見たのは、学生のときだったろうか。記憶では、渋谷の東急文化会館で見たかと覚えている。そのとき、小説……新潮文庫の旧訳版……は、読んでいただろうか。確かな記憶がないのだが、小説を見てから映画を見たのか、その逆か、はっきりしない。

しかし、小説のなかのあるシーンと、映画のなかのあるシーンが重なって、記憶のなかに蓄積されているということがある。『風と共に去りぬ』は、まさにそんな作品である……小説であり、映画である。

映画の前半のクライマックス……アトランタを馬車で脱出するスカーレットとメラニー、そして、レット・バトラー。火事のなかを駆け抜ける馬車。そして、たどりつく故郷タラの景色。この第三冊目には、このもっともドラマチックなシーンが登場する。そして、小説を読んでいくと、どうしても、映画の場面が脳裏に去来する。

そして、やはり魅力的なのがスカーレットである。どん底に落とされたような状況のなかにあっても、未来へ向けて生きる希望を失わない。芯からの強さを感じさせる女性である。その強さの源となっているのは、アイルランド系の血筋である。

ところで、この第三冊目まで読んで思うことであるが、どうも、この作品における黒人の描き方が、ステレオタイプだなと感じるところがある。また、インディアンも登場する。だが、これも、この作品の書かれた時代を考えるならば、逆に、よくここまで書いてあるなと思うところもある。このあたりは、現代の価値観にそって、批判的に読まれるべきところかもしれない。

2020年5月28日記

追記 2020-06-22
この続きは、
やまもも書斎記 2020年6月22日
『風と共に去りぬ』(四)マーガレット・ミッチェル/岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/06/22/9260165

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