『ルドルフとノラねこブッチー』斉藤洋2020-07-06

2020-07-06 當山日出夫(とうやまひでお)

ルドルフとノラねこブッチー

斉藤洋.『ルドルフとノラねこブッチー-ルドルフとイッパイアッテナⅤ-』.講談社.2020
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000325656

このシリーズは、最初の『ルドルフとイッパイアッテナ』から読んでいる。このブログにも、以前に書いたことがある。

やまもも書斎記 2016年6月19日
斉藤洋『ルドルフとイッパイアッテナ』
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/06/19/8114891

その最新刊が出たので、さっそく買って読んでみることにした。シリーズの五冊目になる。

この巻の主な登場人物(猫)は、ブッチーである。金物屋に飼われていた猫だが、その主人がひっこしていなくなってしまったので、今は、野良猫ぐらしである。

野良猫といっても、ルドルフやイッパイアッテナが仲間にいる。食べるものに不自由することはない。イッパイアッテナの飼い主から、一緒にキャットフードをもらってすごしている。

そのブッチーがもと住んでいた家に、時々、もとの飼い主がやってきているらしい。では、野良猫になってしまったブッチーは、飼い主のもとにもどりたいのだろうか。ここのあたりの、ブッチーの気持ちを推し量って、ルドルフは、いろいろと悩むことになる。

結局、ルドルフとブッチー、それから、イッパイアッテナがそろっての大冒険ということになる。

このシリーズ、私は、現代の日本における最高の「教養小説」であると思っている。ここには、岐阜から東京にやってくることになった、黒猫ルドルフの成長の姿がある。それを導く存在であるのは、イッパイアッテナである。それから、ブッチー、さらには、デビルといった仲間たちがいる。これらの仲間のなかで、人間関係(?)をいかに構築していくかが、ルドルフの課題である。ルドルフは「教養」のある猫になろうと、はげむことになる。

ところで、この本の最後に出てきた必殺技は、いづなおとし(白土三平)……と言っていいような気がするが、これは、深読みだろうか。

2020年7月5日記