『源氏物語』(9)若菜 上2020-07-21

2020-07-21 當山日出夫(とうやまひでお)

源氏物語(9)

阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男(校注・訳).『源氏物語』(9)若菜 上.1998

続きである。
やまもも書斎記 2020年7月19日
『源氏物語』(8)行幸・藤袴・真木柱・梅枝・藤裏葉
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/07/19/9269555

第九冊目である。「若菜」の上をおさめる。

国文科の学生のとき、『源氏物語』の中核をなすのが、「若菜」(上・下)であるということを教わった記憶がある。若いとき、『源氏物語』の「若菜」(上・下)をまず読んだものであった。そのころ使ったテクストは、岩波の旧古典大系本であった。

「若菜」の巻を読むのは、何度目になるだろうか。これまでかなりの回数読んできたかと思うのだが、やはり読むたびに、面白さの発見がある。今回、小学館版で読んでみて、特に、その登場人物のやりとりの妙、心理描写の綾、とでも言うべきところに、こころをとめながら読んだ。というよりも、そのように、この小学館版の注釈はつくってある。

文学作品は、芸術として、その多様性と普遍性を考えるべきである。この「若菜」(上)に描かれる登場人物……光源氏をはじめとして、院、帝、紫の上、明石の君、夕霧、柏木などなど……多彩な登場人物の心理描写とやりとりは、まさに近代のリアリズム小説に通じるものを感じる。芸術作品のもつ普遍的な価値というべきところだろう。

「若菜」(上)で、柏木は、女三宮を見ることになる。いよいよこの『源氏物語』の最高のクライマックスへと進む。つづけて、「若菜」(下)を読むことにしよう。

2020年6月27日記

追記 2020-07-26
この続きは、
やまもも書斎記 2020年7月26日
『源氏物語』(10)若菜 下・柏木
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/07/26/9271853

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