映像の世紀プレミアム「人類の危機」2020-09-21

2020-09-21 當山日出夫(とうやまひでお)

NHK 映像の世紀プレミアム 「人類の危機」

いずれそのうち、NHKのこの番組でも「スペイン風邪」のことはとりあげることになるだろうとは思っていた。それが、このような視点で番組が作られたことは、やや意外な感じがしないでもなかった、というのが思うところでもある。しかし、結果的には、それが、自然発生的なものであれ、人為的なものであれ、政治的なものであれ、「人類の危機」という観点から見ると、どのようであったかという意味では興味深い編集であった。

「スペイン風邪」については、名前ぐらいは知っていた。たしかに、最近では、COVID-19との関連で、かつての「スペイン風邪」の世界的な蔓延がひきあいに出されることが多くあるので、テレビなどを見ていても、目にすることが増えたかと思う。

これは、いまだに原因がわからないようだ。そして、なぜ、終息に向かうことになったのか、はっきりしない。ただ、人類全体の集団免疫とでもいうほかはないのかもしれない。(であるならば、今回の、COVID-19も、そのうちに集団免疫でおさまるという予想ができないではないように思えてくる。)

「世界恐慌」も、その影響が大きかったわりには、いったい何故そのようなこと(大恐慌)が起こったのか、原因がはっきりしない。このあたり、歴史学、経済史のほうではどのように考えられているのだろうか。

アメリカにおいて、「世界恐慌」からたちなおるきっかけになったの第二次世界大戦であった。そして、(これは番組では語っていないことだが)日本において、中国大陸侵略の理由の一つも「世界恐慌」であるといえるのかもしれない。

「キューバ危機」については、私は、かろうじて記憶の片隅にあるといっていいのだろうか。リアルタイムで知っているということではなく、その後の報道などでおぼえたことであるのかもしれないが。ここで興味深いのは、きわめて政治的な事件……まさにアメリカとソ連の政治の戦い……であると同時に、最前線の軍の現場の判断の重要性である。沈着冷静な判断が、かろうじて危機を回避することにつなったといえそうである。

「チェルノブイリ原発事故」については、この時代のことになるとリアルタイムで覚えていることになる。だが、その事故のおこった現場で、実際にどのようなことが起こっていたかは、はっきりいってよく知らなかったといってよい。今、日本において、福島の原発事故のことが問題としてあるが、その関連で、言及されることがある。しかし、旧ソ連でいったい何が起こっていたのかは、意外と知られていないことであると思った。

番組の編集のうえで興味深かったのは、第一次大戦も、第二次大戦も、脇役の位置づけであったことである。これら世界大戦は、まさに「人類の危機」であったにちがいないが、それだけではなく、二〇世紀になってから、戦争以外にも多くの危機を人類は体験してきたことになる。

最後に思うことは……この番組は、最後に何をもってくるか、ここを見ることにしている。「キューバ危機」そして「チェルノブイリ原発事故」と語ったきて、エンディングの最後にテレビの画面に映ったのは、北朝鮮のミサイル実験の映像であった。「人類の危機」はなくなったわけではない。

2020年9月20日記

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