『エール』あれこれ「不協和音」2020-10-04

2020-10-04 當山日出夫(とうやまひでお)

『エール』第16週「不協和音」
https://www.nhk.or.jp/yell/story/week_16.html

前回は、
やまもも書斎記 2020年9月27日
『エール』あれこれ「先生のうた」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/09/27/9299563

この週になって、戦争はいよいよ泥沼の状態になっていく。が、その時代を生きた人びとにとっては、それがその日常であり生活であったのであろう。

印象に残るのは、次の二点。

第一に、ニュース歌謡。

ラジオのニュース番組……それも戦争にかんするもの……と同時に、音楽が作られ放送されていた。このことは、このドラマで初めて知ったことになる。そのニュース歌謡の第一人者として、裕一は活躍することになる。

第二、音楽挺身隊。

音は、小山田先生の作った音楽挺身隊に入って活動を開始する。自宅の音楽教室をしめざるをえなくなって、なんとか歌を歌う場所を見つけようとすると、音楽挺身隊しか残されていない状況であった。しかし、その音楽挺身隊に音はなじめないでいる。戦意昂揚を目的とする音楽に、音は関心がない。

以上の二点、裕一と音を軸にして、関内の三姉妹のそれぞれの生活が描かれていた。姉の吟の夫は、戦争に赴くことになる。妹の梅の方は、特高に監視される生活ということで、文学作品の発表もままならない状況にある。さらには、久志や木枯も戦争のなかで生きていかざるをえない。

また、喫茶店の竹……バンブーが竹になった……も、閉店を考えるという。

それぞれに、戦局が悪化するにしたがって、日常生活のいろんな面で、戦争というものを感じて生きていくことになる。

週の最後、裕一のもとに召集令状が来たところで終わった。これは、見たところ海軍からだったようだが。さて、次週はどうなるのだろうか。戦争は、さらに過酷なものになっていくのだろう。この時代を、裕一や音たちは、どのように生きていくことになるのだろうか。ただ、裕一は、戦争が終わってからも、「長崎の鐘」などで活躍することは分かっているのだが、それまでに戦争の時代をどう生きることになるのか。次週以降の展開を楽しみに見ることにしよう。

2020年10月3日記

追記 2020-10-11
この続きは、
やまもも書斎記 2020年10月11日
『エール』あれこれ「歌の力」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/10/11/9304566