『書記バートルビー』メルヴィル/牧野有通(訳)2020-10-31

2020-10-31 當山日出夫(とうやまひでお)

書記バートルビー

メルヴィル.牧野有通(訳).『書記バートルビー/漂流船』(光文社古典新訳文庫).光文社.2015
https://www.kotensinyaku.jp/books/book215/

『文学こそ最高の教養である』の本を読んでいる。英米文学においては、デフォー『ロビンソン・クルーソー』、ハクスリー『すばらしい新世界』、それとメルヴィルである。

メルヴィルといえば、代表作は『白鯨』だろう。『白鯨』については、近年になってから読みかえしている。

やまもも書斎記 2017年5月13日
『白鯨』メルヴィル
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/05/13/8556408

このときの印象としては、巨大な寓意に満ちた作品であると感じたものである。

『書記バートルビー』であるが、この作品もまた寓意を感じる。少なくとも、一九世紀リアリズムの小説ではない。

いったいなぜ、バートルビーは、かたくな拒否の態度をつらぬくのであろうか。頑固な拒否の姿勢は、何に向けられているのか、これも謎である。あるいは、これこそ、つまり、何に対しての拒否であるのかということこそが、この作品の眼目と言っていいのかもしれない。そして、それが、また難解である。

『文学こそ最高の教養である』の該当箇所を読むと、その当時のアメリカの金融資本のあり方などが、示唆されている。そうかなとも思う。が、そのような解説を離れて、メルヴィルの描く世界は、印象的である。バートルビーの拒否のことばは、この世界のなかで屹立している。

正直にいえば、よく分からない、しかし、非常に強烈な読後感を残す作品である。『白鯨』でいだいていたメルヴィルという作家のイメージが、大きく変わったともいえる。

2020年10月30日記

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