『名短篇ほりだしもの』北村薫・宮部みゆき(編)2021-02-12

2021-02-12 當山日出夫(とうやまひでお)

名短篇ほりだしもの

北村薫・宮部みゆき(編).『名短篇ほりだしもの』(ちくま文庫).筑摩書房.2011
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480427939/

続きである。
やまもも書斎記 2021年2月11日
『とっておき名短篇』北村薫・宮部みゆき(編)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/02/11/9346016

北村薫のアンソロジーを読んでいっている。ここに収録の作家は、以下のとおり。

宮沢章夫
片岡義男
中村正常
石川桂郎
芥川龍之介
志賀直哉
内田百閒
里美弴
久野豊彦
尾崎士郎
伊藤人譽
織田作之助

この冊を読んで、ここでもやはりはじめてという作家がある。石川桂郎は、この本ではじめてその存在を知った。(俳人としては有名であったらしのだが、現代の俳句についてはまったくの門外漢である。)この作品、文章が実にいい。近代日本文学の名短篇の白眉といっていいかもしれない。

ところで、このシリーズ、書誌としては、北村薫・宮部みゆきの共編という形のようだが、解説の対談を読むと、どうも北村薫が選んだ作品集になっているようだ。北村薫の読書の幅のひろさ、深さを、強く感じる編集になっている。

このシリーズで、名前を知った作家も少なくない。そして、それが、このアンソロジーに入らなければ、あるいは埋もれてしまったままであったかもしれないと思う。その意味では、このシリーズは実に貴重な仕事であるといっていいだろう。

つづけて、このシリーズを読むことにしたい。

2021年2月9日記

追記 2021-02-13
この続きは、
やまもも書斎記 2021年2月13日
『読まずにいられぬ名短篇』北村薫・宮部みゆき(編)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/02/13/9346621