『ゲンロン戦記』東浩紀 ― 2021-02-18
2021-02-18 當山日出夫(とうやまひでお)

東浩紀.『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ).中央公論社.2020
https://www.chuko.co.jp/laclef/2020/12/150709.html
話題になっている本ということで買って読んでみた。
東浩紀については、その書いたものはいくつか手にとったことはあるのだが、はっきりいってそうひかれることなく、今まで来てしまっている。といって、特に否定的に思っていたわけではない。現代における言論人の一人ぐらいの認識でいた。
この本を読んで、その活動が、ゲンロンという組織、会社に依拠したものであったことを知ったといってよい。なるほど、このような活動をしてきた人物なのかと、認識を新たにしたということが本当のところである。
面白い本なので、一息に読んでしまった。
読んで思ったこととしては、現代における「知」のあり方についての、問いかけになっていることである。既存のシステム……大学であったり研究室であったり、あるいは、マスコミや大手の出版はであったり……に依拠しない、自立した「知」のサークルをつくりあげていったあゆみ、そのあゆみは、決して平坦なものではなかったことがあきらかにになるのだが……そのあしどりを、かなり即物的に語ってある。ここには、形而上的な思弁というものはない。
だが、この本全体を通じて、これは、現代における一つの「知」のあり方を問いかける、ある意味での思想書になり得ていると思う。
COVID-19の影響で、ゲンロンの仕事もオンライン主体になっているようである。これは、時代の趨勢といってしまえばそれまでだが、しかし、このような時代にあって、「知」のあり方を根本から考える足場として、オンラインというのは、一つ新たな地平を切り拓くものであるのかもしれない。
ところで、この本に紹介してあるゲンロンの連想で思うこととしては、京都の上七軒文庫の活動がある。
上七軒文庫
https://kamishitiken-bunko.com/
ともに、これからの時代における「知」のあり方として、注目していきたいと思う。
2021年2月7日記
https://www.chuko.co.jp/laclef/2020/12/150709.html
話題になっている本ということで買って読んでみた。
東浩紀については、その書いたものはいくつか手にとったことはあるのだが、はっきりいってそうひかれることなく、今まで来てしまっている。といって、特に否定的に思っていたわけではない。現代における言論人の一人ぐらいの認識でいた。
この本を読んで、その活動が、ゲンロンという組織、会社に依拠したものであったことを知ったといってよい。なるほど、このような活動をしてきた人物なのかと、認識を新たにしたということが本当のところである。
面白い本なので、一息に読んでしまった。
読んで思ったこととしては、現代における「知」のあり方についての、問いかけになっていることである。既存のシステム……大学であったり研究室であったり、あるいは、マスコミや大手の出版はであったり……に依拠しない、自立した「知」のサークルをつくりあげていったあゆみ、そのあゆみは、決して平坦なものではなかったことがあきらかにになるのだが……そのあしどりを、かなり即物的に語ってある。ここには、形而上的な思弁というものはない。
だが、この本全体を通じて、これは、現代における一つの「知」のあり方を問いかける、ある意味での思想書になり得ていると思う。
COVID-19の影響で、ゲンロンの仕事もオンライン主体になっているようである。これは、時代の趨勢といってしまえばそれまでだが、しかし、このような時代にあって、「知」のあり方を根本から考える足場として、オンラインというのは、一つ新たな地平を切り拓くものであるのかもしれない。
ところで、この本に紹介してあるゲンロンの連想で思うこととしては、京都の上七軒文庫の活動がある。
上七軒文庫
https://kamishitiken-bunko.com/
ともに、これからの時代における「知」のあり方として、注目していきたいと思う。
2021年2月7日記
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