『青天を衝け』あれこれ「栄一と桜田門外の変」2021-04-13

2021-04-13 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』第9回「栄一と桜田門外の変」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/09/

前回は、
やまもも書斎記 2021年4月6日
『青天を衝け』あれこれ「栄一の祝言」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/04/06/9364438

この回は、安政の大獄から桜田門外の変まで。

まだ、ここまでで栄一と慶喜がまじわることない。それぞれ別の道を歩んでいる。

第一に、栄一はというと、武州の藍農家にすぎない。だが、尊皇攘夷の気持ちをもっている。これは、深くそう考えてなっているというよりも、ただ時代の流れのなかで、流されているということなのであろう。

いずれは、栄一が一橋家につかえ、そして、パリ万博を目にするはずである。尊皇攘夷の志士の一人であった栄一が、どのようにして、幕末から明治維新を生きていくことになるのか、今はまだ雌伏の時であるといっていいのだろう。

第二に、慶喜はというと、これはこの回は謹慎であった。安政の大獄である。

歴史の流れとしては、尊皇攘夷、討幕へと時代の流れは動いていくはずである。そのなかにあって、慶喜は時代というものをどう見ていたのだろうか。自分が武士であること、徳川家の当主になることを、どう考えることになるのか。そして、最後は、その終焉をみとどけることになるはずである。

以上、このドラマは、時代の背景としての歴史の流れを描きながら、同時に、そのなかで自分の生き方をさぐっていくことになる、栄一を描いている。栄一が、これから、武士の時代に見切りをつけるのは、どのような経緯を経てということになるのか、このあたりが、今から気になるところである。

ところで、この回で描かれた桜田門外の変であるが、これまで何度となく大河ドラマなどで描かれてきており、小説などでも描かれてきた事件である。この『先天を衝け』では、わりとあっさりとした描き方であったかと感じる。あるいは、今回の桜田門外の変については、どこかしら幻想的でもあった。

尊皇攘夷ということで振り回されていたのは、徳川幕府も、また農民の栄一も同じことかもしれない。そのなかにあって、次の時代への展望をいちはやく獲得するのは誰になるのか、このあたり、これからの展開を見てみたい。次週、栄一は、尊皇攘夷運動のなかに飛び込んでいくことになるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2021年4月12日記

追記 2021-04-20
この続きは、
やまもも書斎記 2021年4月20日
『青天を衝け』あれこれ「栄一、志士になる」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/04/20/9369027