映像の世紀(7)「勝者の世界分割」2021-05-14

2021-05-14 當山日出夫(とうやまひでお)

MHK 映像の世紀(7) 「勝者の世界分割~東西の冷戦はヤルタ会談から始まった~」

続きである。
やまもも書斎記 2021年5月7日
映像の世紀(6)「独立の旗の下に」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/05/07/9374935

この回はヤルタ会談のこと。東西冷戦の物語であった。

私は一九五五年(昭和三〇年)の生まれである。まさに、戦後、東西冷戦のまっただなかである。記憶にある世界の情勢としては、国内はいわゆる五五年体制であり、国外は東西冷戦のまっただなか、そのような時代に生まれ育ってきたことになる。

思うことはいくつかあるのだが……私が学生のころだったろうか、ユーロコミュニズムということがいわれた時代があった。共産主義の賛美の一種である。ソ連や中共(このことばは今ではもう使わないことばになってしまったが)のような共産主義はよくない。しかし、東欧、東ドイツなどの共産主義はすばらしい、このような言説がまかりとおっていた時代がかつてあった。

それも、ベルリンの壁の崩壊以後の世界の情勢のなかで、その内実があきらかになり、ただの幻想にすぎなかったことが分かる。だが、このあたりの経緯について、検証した本はまだ読んでいない。

この番組が放送になったのは、一九九五年。ベルリンの壁の崩壊、ソ連の解体ということのあとである。このような時代になったからこそ、スターリンを描くことができたのかとも思う。また、東西冷戦下にあっての、プロパガンダ映画も、またその後の歴史をふまえてみるならば、貴重なものといえるだろう。

ルーズベルト、チャーチル、スターリン……この三人で、その後の世界を作ったことになる。東西冷戦は終結したとはいっても、このときの枠組みの影響は今にいたるまで残っている。日本が、戦後になって分割統治されることがなかった……ドイツのようにならなかった……これは、やはり僥倖というべきなのだろうと思う。

2021年5月12日記

追記 2021-05-21
この続きは、
やまもも書斎記 2021年5月21日
映像の世紀(8)「恐怖の中の平和」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/05/21/9379679

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