『青天を衝け』あれこれ「栄一と運命の主君」2021-05-18

2021-05-18 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』第14回「栄一と運命の主君」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/14/

前回は、
やまもも書斎記 2021年5月11日
『青天を衝け』あれこれ「栄一、京の都へ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/05/11/9376347

栄一は、徳川慶喜の家臣になった。ここで、ようやくこのドラマの最初のシーン、馬に乗る慶喜とそれに直訴する栄一の場面にもどったことになる。ここから、栄一と慶喜の人生が交わることになる。

思うことを書いてみる。二点ほどある。

第一に栄一である。

この回で、一橋家の家臣ということなる。ここで気になるのは、江戸時代の身分制度。農民……といっても、名字を許されている豪農といっていいのだろうが……が、いきなり、刀を二本さして、今日から武士である、そう簡単になれるものなのだろうか。その手続きなど、どうなっていたのだろうか。

このあたりは、時代考証をふまえての脚本になっているのだろうと思うが、ドラマの進行上としては、徳川家康か、あるいは、ナレーションの守本アナにでも、解説してもらいたいところである。

ようやく一橋家の家臣になったとはいうものの、その志は、まだ持っているような、あるいは、どこかに消えてしまうような、そんなところがある。これから、栄一たちは、一橋家でどのように生きていくことになるのだろうか。

それにしても、農民出身である設定の栄一と喜作であるが、米の炊き方も知らなかったというあたりは、ちょっと笑わせるシーンであった。

第二に慶喜である。

慶喜は、将軍家として、島津と決裂する。だが、歴史の結果としては、島津はこの後討幕ということになり、慶喜……この時には将軍になっているのだが……大政奉還ということで、政権を投げ出してしまうことになる。このような歴史の結果がわかって見ると、この回で描いていた慶喜は、徳川を一身に背負って奮闘している。幕府をなんとかささえようとしている。

これが、これから明治維新ということになって、慶喜の心中がどのように変化していくことになるのか、そこをどう描くのか、興味深いところである。

以上の二つぐらいのことを思って見る。

ところで、栄一はいっていた……一橋の家は質素である、と。たぶん、そうだったかのかもしれないが、ドラマの製作としては、栄一の故郷の血洗島の村のセットを作るために予算を使ってしまったので、一橋家の屋敷まで手が回らなかったということなのだろうと思ってみていた。

ドラマは、いよいよ幕末の大きな流れのなかに突入することになる。このあたり、徳川家康の解説は、非常にうまく説明していると思う。

さて、次回は、栄一と薩摩藩とのかかわりということになるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2021年5月17日記

追記 2021-05-25
この続きは、
やまもも書斎記 2021年5月25日
『青天を衝け』あれこれ「篤太夫、薩摩潜入」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/05/25/9381013