オンライン授業あれこれ(その二五)2021-05-24

2021-05-24 當山日出夫(とうやまひでお)

続きである。
やまもも書斎記 2021年5月17日
オンライン授業あれこれ(その二四)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/05/17/9378376

オンライン授業(オンデマンド)ということで、一番こまるのは、学生が教材を見てくれないことである。

四月の最初の授業のときにいっておいた。COVID-19の感染状況によっては、今後どうなるかわからない。授業はオンラインになるかもしれない。その場合は、大学のLMSで連絡することになるので、これを必ず見るようにと、いった。二回目の授業のときにも、次週(三回目)からオンラインになると思うので、それに対応するようにといっておいた。

にもかかわらず、今にいたるまで、最初に送信した教材(プリントやYouTubeのURLが記してある)を、見ていない学生が少なからずいる。

まあ、YouTubeについてみれば、最初にアップロードしたものについては、かなりの学生が見ているようではある。しかし、これも、回数がすすむにしたがって、視聴する人数が減っていっている。

これは、いたしかたのないことかもしれない。YouTubeにアップロードしてあるからといって、別に見て面白いものではない。そのようには、意図していない。ただ、授業の内容について、淡々と語るのみにしている。それも、配布のプリントと基本的に同じことを述べるようにしている。(これは意図的にそうしている。プリントを読むだけの学生と、YouTubeを視聴する学生との間に差が生じないようにするためである。)

考えたことを整理してみるならば、次の二点になる。

第一には、特に配慮すべきこととして、学生のPCスキル、インターネット接続環境である。

昨年から、大学の授業がオンラインを主体とするものになったとき、学生のPCスキルやインターネット接続環境については、いろいろ議論されたことである。しかし、今年度になってからは、あまりその問題点について指摘したという声をきかない。これは、問題が解決されたことではないと思う。

おそらくは、PCスキルなどで、オンライン授業についてこれない学生を、暗黙のうちに切り捨ててしまっていることなのだろうと思って見ている。最近の話題でいえば、大阪市の小学校が、オンライン授業をやるといって、結局、もとにもどすことになったということがある。生徒の一人一人には、タブレット端末が行きわたっているから可能であると判断したものであろう。しかし、ただ、端末があればできるというものではない。それにくわえて、通信環境の整備、教員のノウハウ、それから、準備の時間など、もろもろのことが必要になってくる。大阪市の失敗例は、いい教訓になるかと思う。小学校教育であるから、なによりも公平であることが求められる。家庭の事情などによって、通信環境などが脆弱な環境にいる子供を切り捨てることはできない。

第二には、では、どのような学生に、どう配慮すべきかである。

考え方は二つあるだろう。

(1)PCスキルなどに関係なく、やる気のある学生をなるべくとりこぼさないようにする。

(2)ある程度のPCスキルがあること、インターネットへの接続が可能であることを前提にする。これは、PCでインターネットがつかえない、という学生は、切り捨ててしまうことになる。(この御時世である。大学生として勉強する気があるなら、PCを持っていて、インターネットにつながるようにしておくのが当然ということも立場としてはあり得る。)

私は、このうち、(1)の立場をとることにした。PCスキルなどが未熟であっても、とにかくやる気さえもっていれば、どうにかついてこれる方式を考えて、採用することにした。

今の学生のPCスキルは、貧弱である。すでに書いたことだが、繰り返し確認してみるならば、授業の最初のとき、コメントペーパーで、ワープロでレポートが書けるかどうかたずねてみた。その結果は、できませんという学生がかなりの数にのぼる。ワープロでレポートが書けませんという学生に対して、オンラインの授業は、いきなりハードルが高いだろう。

最低限、スマホは持っている、あるいは、とにかくインターネットにつながったPCがある、これが可能なら、どうにか授業についてこれる方式を選ぶことにした。ただ、こちらが求めているのは、やる気なのである。

2021年5月22日記