プロジェクトX「われら茨の道を行く」2021-07-29

2021-07-29 當山日出夫(とうやまひでお)

プロジェクトX われら茨の道を行く 国産乗用車攻防戦

前回は、
やまもも書斎記 2021年7月24日
プロジェクトX「トランジスタラジオ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/07/24/9401070

この回は、国産乗用車、トヨタのクラウンの開発物語。

見て思うことはいろいろあるが、二点ばかり書いてみる。

第一には、技術開発について。

クラウンの開発には二つの側面があるだろう。

一つには、戦前からの技術の継承。特に、飛行機……具体的には軍の戦闘機ということになるが……の技術の継承という面。

二つには、それでも日本独自の技術開発の苦労。番組では、ほとんどゼロからの技術開発ということで描かれていたが、確かに、クラウンを開発するにあたって、相当の苦労と工夫があったろうことは、よくわかる。そして、その開発の物語は、感動的でもある。

第二には、その技術の寿命について。

今では、世界の自動車の流れは、電気自動車の方向に向かっている。ガソリンエンジン車の時代ではない。たしかにクラウンは、ガソリンエンジン車としては、国産のトップであり、世界でもトップクラスの自動車であったかもしれないが、この先どうなることだろうか。トヨタという会社が自動車の会社として生き残るためには、電気自動車しか道はないはずだが、はたしてどうかという気がしないでもない。

とりあえず、以上の二点のことを思って見る。

それにしても、この番組の終わりが印象的であった。クラウンを開発して、その後、技術開発に取り組んだ結果が、ハイブリッド車であった。番組は、二〇〇四年の放送なので、まだ、今のように電気自動車の方向が明確にはなっていない時代である。ハイブリッド車が、先端の技術であったころのことになる。

私は、クラウンを運転したことはない。特に乗ろうと思ったこともない。もし、電気自動車のクラウンの時代になるとしても、たぶん乗らずに終わるかと思う。いや、その時代まで生きていて、運転をつづけていられるかどうかという気にもなる。

この「プロジェクトX」も、再放送は続きそうである。たぶん、この番組の背景にあるのは、ノスタルジーだろうと思う。かつての、戦後の復興の時代、何もかも失ったときから、高度経済成長への時代への、日本の良かった時代、その時代への郷愁というようなものを感じる。これはこれとして悪いことではないと思うが、では、これからの先の将来の日本のあるべき姿を、どのように展望するかということが、問題としてはあることになる。過去への郷愁だけからは、何も生まれない。脱炭素は、日本の再復興の灯か、それとも、凋落への弔鐘か。

2021年7月28日記

追記 2021年8月5日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年8月5日
プロジェクトX「翼はよみがえった(前編)」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/08/05/9404623

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/07/29/9402708/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。