『ボロ家の春秋』梅崎春生 ― 2021-08-07
2021-08-07 當山日出夫(とうやまひでお)
梅崎春生.『ボロ屋の春秋』(中公文庫).中央公論新社.2021
https://www.chuko.co.jp/bunko/2021/06/207075.html
梅崎春生という作家は、名前は知っていたが、それと意識して作品集を読むのは、はじめてになる。
文庫本の解説(荻原魚雷)によれば、「ボロ家の春秋」という作品は、これまでに何度か文庫本で刊行されてきているらしい。この中公文庫版は、その何度目かの文庫ということになる。
読んでみて……はっきりいって、あまり感心しない、というのが正直なところ。といって、面白くないというのではない。ただ、小説の書き方として、あるいは、題材として、ちょっと古めかしいのである。このような小説が書かれ、読まれていた時代が、昔はあったのだ、という気持ちで読むことになる。
とはいえ、「ボロ家の春秋」は直木賞受賞作である。そう思って読むせいかもしれないが、それなりの面白さはある。だが、今の時代に、広く読まれる小説の面白さとは、ちょっと違うかな、という気がしてならない。
ただ、読んで損をしたという気にはならない。こういう文学もあるのだな、と思いながら読んだ。
文学史的には、どう位置づけることになるのか。市井の人びとの、ちょっと変わった日常を描き出す、とでもいうことになるのだろう。この意味では、この作品の系譜は、今につづくものであるといえるだろう。
2021年7月27日記
https://www.chuko.co.jp/bunko/2021/06/207075.html
梅崎春生という作家は、名前は知っていたが、それと意識して作品集を読むのは、はじめてになる。
文庫本の解説(荻原魚雷)によれば、「ボロ家の春秋」という作品は、これまでに何度か文庫本で刊行されてきているらしい。この中公文庫版は、その何度目かの文庫ということになる。
読んでみて……はっきりいって、あまり感心しない、というのが正直なところ。といって、面白くないというのではない。ただ、小説の書き方として、あるいは、題材として、ちょっと古めかしいのである。このような小説が書かれ、読まれていた時代が、昔はあったのだ、という気持ちで読むことになる。
とはいえ、「ボロ家の春秋」は直木賞受賞作である。そう思って読むせいかもしれないが、それなりの面白さはある。だが、今の時代に、広く読まれる小説の面白さとは、ちょっと違うかな、という気がしてならない。
ただ、読んで損をしたという気にはならない。こういう文学もあるのだな、と思いながら読んだ。
文学史的には、どう位置づけることになるのか。市井の人びとの、ちょっと変わった日常を描き出す、とでもいうことになるのだろう。この意味では、この作品の系譜は、今につづくものであるといえるだろう。
2021年7月27日記
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