プロジェクトX「翼はよみがえった(後編)」2021-08-13

2021-08-13 當山日出夫(とうやまひでお)

プロジェクトX 「翼はよみがえった 後編 YS-11開発」

続きである。
やまもも書斎記 2021年8月5日
プロジェクトX「翼はよみがえった(前編)」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/08/05/9404623

YS-11については、世代によっていろいろと思うことがあるだろう。私ぐらいの年代だと、戦後日本の復興、経済成長の一つのシンボルであったようなところがある。

だが、そのYS-11も、その後の後継機が作られることなく、終わりを迎えることになる。今、日本の飛行機産業は、いったいどうなっているのだろうか。ただ、技術力だけをとりだしてみるならば、それなりのものもを持っているのだろうが、製品として作りだして世界に通用するかどうかとなると、もはやかなり難しいのかもしれない。(それに今般のCOVID-19による、世界的な航空産業の落ち込みも加わっている。)

番組を見ていて思ったこととしては、やはり人材の育成ということだろう。設計、製造の現場において、技術者を育てていく……このことの重要性を強く感じた。それには、継続して製品を作り続けなければならない。それが途切れたとき、人材の連続もとぎれることになる。

YS-11については、戦前からの飛行機技術の継承ということが、ギリギリ可能な段階であった。また、それを受け継ぐ若い人材も多くいた。が、これも、YS-11の後継機を作れなくなってしまえば、途切れてしまわざるをえない。

番組では、あまり触れることが無かったが、YS-11を作った東條輝雄。東條英機の子どもである。その人生も興味深いものかもしれない。(ちょうど今日のニュースとしては、東京裁判死刑囚の記録が見つかったことが報じられている。)東條英機は日本という国家を背負った人間であったことは確かである(その是非はおいておくとして)。そして、YS-11のプロジェクトも、また戦後日本の国家プロジェクトである。ここで、何を思うことになったのか、興味のむくところであることは、やむを得ないことかもしれないのだが。

ここで年寄りめいた感想を述べてみるならば……YS-11を作ることのできた時代は、ある意味で日本の良かったかつての時代だったのかもしれない。

2021年8月12日記

追記 2021年8月19日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年8月19日
プロジェクトX「日米逆転!コンビニを作った素人たち」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/08/19/9412591