NHK「芥川賞・直木賞の舞台裏」2021-09-06

2021-09-06 當山日出夫(とうやまひでお)

NHK 決戦!タイムリミット「芥川賞・直木賞の舞台裏」

ちょっと興味があったので録画しておいて、翌日に見た。

芥川賞・直木賞について、作家のみならず、出版社、書店、印刷、製本といったところまで密着しての構成になっていた。だが、賞を決める側の事情……文壇といってもいいのだろうが……についてふれることはなかった。

ただ、私自身としては、芥川賞・直木賞だからといって特に読むこともしないし、逆に、忌避することもない。まあ、今の時代、どのような作品が文学の世界にあるのか、確認する意味で、ここ近年は手にとるようにしている、という程度である。

これも、出版不況といわれる今日にあっては、大きなイベントということになる。書籍は商品であり、その生産(執筆)にたずさわる作家以外に、流通、小売りまで、ビジネスの視点から、考えてみることになる。が、これも、特に目新しい視点ということではない。

やや不満に感じた点を書いておけば、芥川賞の受賞作については、もうちょっと言及があってよかったのではないかと感じる。日本語を母語としていない作家、また、日本ではなく外国にいる作家、このような作家が、受賞する時代になっていることは、今日の日本における文学のあり方を考える上で、重要なポイントになるにちがいない。(これも、取材をこころみたが断られたというのなら、いたしかたないが。)

さらに書いてみるならば、今や街の書店は風前のともしび状態といってもいいだろう。特に、地方の書店は厳しい状況にある。(これは、番組でも取り上げられていたとおりだろう。)その一方で、オンライン書店の存在がある。しかし、番組では、オンライン書店のことについては、一切触れることがなかった。このあたり、番組の構成上、ちょっと物足りなく感じるところではある。

それから興味深いのが校閲の作業。芥川賞について、雑誌掲載から単行本にするとき、単にDTPのデータを流用すればいいというものではなく、改稿・校正の手が加えられていることになる。このあたりは、ではどのテキストが、受賞作のテキストなのか、という問題を生むことになるだろう。

さて、今回の芥川賞であるが、二冊買ってはあるのだが、まだ読んでいない。どちらもそう長い作品ではないのだが、いやそれだからこそ、ある程度時間に余裕のあるときに、いっきに読んでしまいたいという気になるので、ちょっと手をつけずに積んだままになっている。

後期の授業のはじまるまでにすこし時間がある。授業の準備もあるが(ひょっとしてオンラインになるかもしれないが)、今回の芥川賞の作品は読んでおきたいとおもっている。

2021年9月5日記

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