『ヨルガオ殺人事件』アンソニー・ホロヴィッツ/山田蘭(訳)2021-09-24

2021-09-24 當山日出夫(とうやまひでお)

ヨルガオ殺人事件(上)

ヨルガオ殺人事件(下)

アンソニー・ホロヴィッツ.山田蘭(訳).『ヨルガオ殺人事件』(上・下)(創元推理文庫).東京創元社.2021
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488265113
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488265120

上下巻のかなり大部の作品になるが、ほぼ三日で読んだ。

まず、最初の三分の一。主人公のわたし(スーザン)の話し。次に、作中のピュントの物語。それから、もとにもどって、本編の解決編。他の本を読む間に、三分割して読んだことになる。

これは、本格ミステリ……というよりも、ちょっと古風ないい方をあえてして、探偵小説とでもいった方がいいかもしれない。古典的な構成によるフーダニットである。だが、これも、『カササギ殺人事件』と同様に、一つの小説のなかに、さらに入れ子構造で、もう一つの小説が組み込んであるつくりになっている。(いや、小説中の小説のなかに、さらにもう一つ短篇が含まれているというつくりでもある。)

私は、たまたま、シリーズの最初になるはずの「カササギ」から読んだが、まだ読んでいないという人は、まず、「カササギ」を読んでから、この「ヨルガオ」を読んだ方が楽しめると思う。というよりも、そうしないと、逆に「カササギ」を読んで、いったいこの小説は何なんだという驚きが、なくなってしまう懸念がある。

とはいえ、これはこれで、独立した小説として、十分に楽しめる作りになっている。

たぶん、東京創元社が、この時期にこの作品を刊行ということは、今年末の各種ミステリベストを狙ってということもあるだろう。私の読んだところでは、たぶん一位になるだろう。となれば、四年連続で一位ということになる。

フーダニットの探偵小説であるから、じっくり読まないと面白さがわからない。登場人物のちょっとしたことば、行動、それらを見抜く、名探偵の推理……そして、最後に、メインの登場人物が一堂に会したところで、名探偵の謎解きが展開される。まさに、古典的なつくりだが、これが、現代風の謎とあいまって、見事である。

作中のピュントの部分は、第二次大戦後のちょっと時間がたったころという時代設定になっている。これはこれで意味がある。その時代ならではの、謎解きの小説として読める。一方、本編の部分は、まさに現代ならではの謎であり犯罪の動機になっている。このあたりの時代設定の組み合わせも実にたくみであると感じる。

この続編が出るなら、それも楽しみである。

2021年9月23日記

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