映像の世紀プレミアム(14)「運命の恋人たち」2021-11-12

2021-11-12 當山日出夫(とうやまひでお)

映像の世紀プレミアム (14) 運命の恋人たち

二〇一九年の放送のときは、見たのを覚えている。二年ほど前のことになる。見た印象としては、さほど大きく変わったことはない。

性についての意識も、歴史とともにある。これからの社会がどうなるかわからないが、社会的な性ということをぬきにして、これからの社会を語ることはできないだろう。

なぜ、NHKは、この企画において日本の事例を出さなかったのだろうか。グレース・ケリーの結婚が、王家と「平民」との間の結婚ということで問題になったとしたなら、日本においても、事例がある。

前回見たときは気づかなかったが、今回気づいたこととして、グレース・ケリーのことを、「平民」とナレーションで言っていた。このことば、久しぶりに聞いたような気がする。

それから、戦争、あるいは、独裁ということと性のあり方という観点からも興味深い。独裁国家において、性の多様性が認められないというのは、今にはじまったことではなかろう。

ナチスにおける、ゲッベルスの役割は、まさに独裁国家において、「家族」のかたち、「性」のかたちを、国民に印象づけることにあったことになる。戦時、独裁体制のもとで、どのような「家族」のあり方がもとめられることになったか、これは、我が国の事例についても考えてみる価値のあることだろう。

ところで、グレース・ケリーは、確か『裏窓』を映画館で見たかと覚えている。イングリッド・バーグマンも、若いとき、どこかの名画座でその作品を見たはずである。どこで、どの映画であったは、忘れてしまっている。

2021年11月11日記