『青天を衝け』あれこれ「栄一、もてなす」2021-11-16

2021-11-16 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』第35回「栄一、もてなす」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/35/

前回は、
やまもも書斎記 2021年11月9日
『青天を衝け』あれこれ「栄一と伝説の商人」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/11/09/9438782

この回の主役は女性たちといっていいだろう。アメリカから、前大統領グラント将軍が日本にやってくる。それを歓迎する任に栄一があたることになった。

かつて栄一は、パリに行ったことがある。そのときのことを思い出す。遠く異国を旅する人には、どのようなもてなしがふさわしいのか。日本が一等国になっていることを証明するための、絢爛たる舞踏会もいいのだろうが、それだけではない。もっと心あたたまるものが必要である。

グラント将軍は、栄一の家を訪問したいと希望する。それに栄一はあわてるが、妻の千代はなんとかそれにこたえることになる。

ここで描かれていたのは、明治の時代に一等国になろうとして……不平等条約を改正したい……必死になっている日本の姿であったかもしれない。歴史の結果として、これが可能になるのは、日清戦争、日露戦争という対外戦争を経ての後のことになるのだが。

そして、栄一の仕事をささえた千代の内助の功というべきものである。また、登場していたその他の女性たちもそうだろう。

見ていて、ふと、山田風太郎の明治小説『エドの舞踏会』を思い出した。御一新から明治にかけて生きた、女性たち……主に政治家の妻であるが……を、題材にした小説である。女性の立場から見た明治維新であり、明治という時代が描かれていたと覚えている。

飛鳥山での歓迎会のときに、グラント将軍が言っていたことが印象的である。西欧の列強諸国は、日本が近代化することを望んではいない。

飛鳥山の邸宅は、その後、栄一のかかわった民間外交の舞台となるものであるが、このドラマにおいて、これはどのように描かれることになるのであろうか。

明治天皇が登場してきていてもよかったようなものだが、出てきてはいなかった。

ところで、番組のなかで、コレラが出てきていた。次回、千代がコレラにかかるということなのだろうとは思うが、どうなるか心配である。史実としての結果は分かっていることなのだが。次回を楽しみに見ることにしよう。

2021年11月15日記

追記 2021年11月23日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年11月23日
『青天を衝け』あれこれ「栄一と千代」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/11/23/9442479