『カムカムエヴリバディ』あれこれ「第5週」2021-12-05

2021-12-05 當山日出夫(とうやまひでお)

『カムカムエヴリバディ』第5週
https://www.nhk.or.jp/comecome/story/details/story_details_05.html

前回は、
やまもも書斎記 2021年11月28日
『カムカムエヴリバディ』あれこれ「第4週」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/11/28/9443704

戦後の大阪を舞台にした週であった。一九四八(昭和二三)年までということのようだが、その時間の流れを感じさせない、凝縮した展開であった。

安子は岡山の家を出る。(ただ、このとき、いくら朝一番の汽車だからといっても、がら空きなのは、ちょっとどうかなと思ったが。)かつての稔の住まいしていたところで、住むところをたのみこむ。大阪で、芋アメをつくり、闇市で売る。そのうち売れるようになり、「たちばな」の名前で、おはぎも作って売るようになった。

この週で、このドラマのタイトルである「カムカムエヴリバディ」のラジオ放送がはじまった。はじめは、よその家のラジオをこっそりと聞くだけだったのだが、そのうち余裕ができて、ラジオを買うことができたようだ。(このあたり、ラジオ購入の経緯が描かれているとよかったと思うのだが、省略されてしまっていた。)

仕事に忙しくなった安子は、配達の途中で、事故にあう。結果として、自分の腕は折れることになり、また、るいの顔にも傷をのこすことになってしまった。

最後、安子とるいは、岡山に帰る。

このような展開のなかで、特に印象に残っているのは、「カムカムエヴリバディ」の放送を軸とした部分だろうかと思う。このドラマはフィクションであるが、このラジオ放送は、事実にもとづいている。

私の経験……一九五五年の生まれ……では、「カムカムエヴリバディ」の放送を聞いたことはない。しかし、どこかで「カムカム英語」ということばを目にしたか耳にした記憶はある。それほど、戦後の人びとにとって、ラジオの英語講座は、戦後の日本を象徴するものだったのだろうかと思う。

そして、「カムカムエヴリバディ」の講座の内容は、普通の日本の人びとの生活に即したものであったらしい。たぶん、このあたりは、考証して作ってあるのだろうとは思うが。

また、戦後の闇市のシーンで、パンパンの姿がなかった。これは、以前の『エール』のときもそうだった。必ずしもそのような女性の姿を登場させなくてもいいということなのかもしれない。(だからといって、そのような女性がいたことを忘れてはならないとも思うが。)

次週は、再び岡山に舞台がもどって、ドラマは展開するようである。楽しみに見ることにしよう。

2021年12月4日記

追記 2021年12月12日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年12月12日
『カムカムエヴリバディ』あれこれ「第6週」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/12/9447336