忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段(前編)2021-12-09

2021-12-09 當山日出夫(とうやまひでお)

忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段
https://www.nhk.jp/p/ts/282VPZ4VY6/?cid=jp-timetable-modal-programofficial

NHKは、このような「けれんみ」たっぷりのドラマをうまく作る。脚本、演出は、源孝志である。私がこの人の名前を覚えたのは、何年か前に放送した『怪談牡丹灯籠』であったかと思う。

普段の生活では、書斎で本を読むか、花の写真を撮りに外に出るか、あるいは、学校に教えに行くか、ぐらいの生活である。歌舞伎の舞台など見ることは基本的にない。寄席で落語を見ることもない。しかし、そのような私であっても、中村仲蔵の名前ぐらいは知っている。

このドラマの面白さは、基本的に次の二点から考えることができるだろうか。

第一には、考証の緻密さ。

江戸の芸能にそう詳しいというわけではない。いや、まったくの門外漢といっていいのだが、見ていて、江戸時代の芝居小屋などの時代考証をきっちりとやって作ってあることは感じとれる。緻密な時代背景の描写と考証のうえに、どのようなドラマを見せるか、ここが見せ所である。

第二には、「けれんみ」。

下手な監督が作ると、まったくダメになってしまう。しかし、このドラマは、それが成功している。それに役者もこたえている。あるいは、それにこたえることのできる一流の役者をそろえたというべきかもしれない。

以上の二つの観点から見て、これは傑作であると思う。

史実の中村仲蔵がどうであったか、そのあたりの知識はまったくないのだが、そうであっても、十分に楽しめるドラマになっている。

また、近世以前において、あるいは近代になってからもそうであるが、役者というのは差別とともあったことも、描いている。ただ、華麗な舞台だけが役者の世界ではない。このあたりも、重要なところかと思う。

後編を楽しみに見ることにしよう。

2021年12月6日記

追記 2021年12月13日
この続き(後編)は、
やまもも書斎記 2021年12月13日
忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段(後編)
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/13/9447602