映像の世紀プレミアム(18)「ナチス 狂気の集団」2021-12-10

2021-12-10 當山日出夫(とうやまひでお)

映像の世紀プレミアム (18) ナチス 狂気の集団

これは、二〇二〇年、昨年の放送。放送されたときに見たのを覚えている。そのときに感じたことから、さほど思うことは変わらない。思いつくままに書いてみる。

ナチスは、普通の人びとによって支持されていた。多くのドイツ国民が党員となり、その政策は受け入れられていた。この意味では、多くのドイツ国民は、共犯者といっていいのかもしれない。が、今にいたるまで、あるいは、番組の作りもそうだったが、「だまされていた」といういい方はしない。ここは、ナチスのプロパガンダの巧みさということで、説明されていた。

さて、今の時代、ヒトラーのナチスの独裁のようなことが可能だろうか。世界を見わたしてみて、確かに独裁体制の国はある。しかし、今では国際社会の世界的な監視の目が、かつてよりも厳しいということもあるかもしれない。

その一方で、もしヒトラーのような人物が登場してきたとして、それになびいてしまわないという保証もない。ごく普通の人びとの普通の生活と、ナチスドイツとは、となりあわせにある。

また、見ていて思ったことであるが……番組では、あえてドイツ以外の国のことを語らなかった。少し、英国のチャーチルが出てきたぐらいである。フランスのヴィシー政権のことも、スターリンのソ連のことも、イタリアのムッソリーニのことも、触れることがなかった。日本も、三国同盟ということで、ドイツ、イタリアと運命を共にする歴史を歩むことになるのだが、これについては、一切触れることがなかった。

ナチスのしたこと、その考え方は、今の歴史では否定されることになるが、そのプロパガンダの手法については、今なお考えるべきところが多くあるように思える。これは、インターネットの時代においてこそ、このことについて省みる必要があるだろう。

さて、買ってあってまだ読んでいない『ヒトラー』(岩波新書)を読んでおくことにしよう。

2021年12月9日記