『戦争と平和』(五)トルストイ/望月哲男(訳)光文社古典新訳文庫2021-12-18

2021-12-18 當山日出夫(とうやまひでお)

戦争と平和(5)

トルストイ.望月哲男(訳).『戦争と平和』(五)(光文社古典新訳文庫).光文社.2021
https://www.kotensinyaku.jp/books/book343/

続きである。
やまもも書斎記 2021年12月11日
『戦争と平和』(四)トルストイ/望月哲男(訳)光文社古典新訳文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/11/9447055

五冊目である。歴史上の出来事としては、大きく物語は展開する。モスクワの陥落と、そして、フランス軍の占領、そして、撤退である。

この大きな歴史の流れのなかに、アンドレイやナターシャ、そして、ピエールなどは、もてあそばれるかのように、運命的な出来事に翻弄されることになる。ここまで読んできて、やはり、この架空の登場人物を描いたところに、共感して読むことになる。

いいかえるならばであるが、どうも歴史上の出来事、また、その歴史というものについての、トルストイの講釈の部分は、はっきりいってあまり面白くない。たぶん、このあたりが、この作品についての、評価、好悪をわける部分かと思う。私としては、トルストイの歴史観に、あまり共感するところはない。というよりも、その饒舌に、いささかうんざりするところもないではない。

だが、大きな物語としては、アンドレイやピエール、ナターシャやマリヤの物語として読んで、これは非常に面白い。また、この巻では、重要な登場人物として、ピエールが遭遇することになるプラトンという人物がいる。

大きな歴史の変革のなかで、翻弄される登場人物たちを通じて、著者の人生観、世界観、死生観というものが、随所に見られる。これはこれで、読んでいてなるほどと感じながら読むことになる。

とはいえ、アンドレイの最期の場面など、なんとなくあっけない印象をもってしまう。

残りは、後一冊である。つづけて読むことにしよう。

2021年10月23日記

追記 2021年12月25日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年12月25日
『戦争と平和』(六)トルストイ/望月哲男(訳)光文社古典新訳文庫
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/25/9450616

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