『青天を衝け』あれこれ「青春はつづく」2021-12-28

2021-12-28 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』最終回「青春はつづく」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/41/

前回は、
やまもも書斎記 2021年12月21日
『青天を衝け』あれこれ「栄一、海を越えて」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/12/21/9449605

いろいろとあったが、このドラマもようやく終わった。終わってみればであるが、面白かったというのが、率直な感想である。

今年のドラマは異例であった。そもそも新年のスタートが遅れて開始になった。また、途中、オリンピック、パラリンピックで、中断するということもあった。そのせいであろうか、序盤、前半のあたり、栄一の故郷の血洗島を舞台にしたところは、丁寧に江戸時代の農民の生活が描かれていたのに対して、後半になって、パリに行くあたりのところから、スピードがあがってきた。明治維新以降の渋沢栄一について、近代日本の歩みと併行して考えるべきところがあるかと思うのだが、見ていて、かなり省略して描いていると感じるところがあった。

確かに、近代日本を描くことはむずかいしのだろう。特に、渋沢栄一を主人公とするとなると、近代日本の経済のみならず、社会のあり方や政治についても、触れざるをえない。その人生を肯定的に描くことになるにせよ、日本の近代の歴史は、決して明るい面ばかりではない。

渋沢栄一は、昭和六年まで生きた。満州事変の年である。近代日本において、大きく歴史が動くときであったといえる。

また、渋沢栄一については、膨大な伝記資料がのこされている。それは、デジタル版にもなっている。ドラマとして、渋沢栄一の人生そのものについては、あまりフィクションの入りこむ余地はなかったといえる。

だが、その人生を通じて、幕末から近代日本を生きた人間の軌跡をどう描くかとなると、また難しい問題があるだろう。いうなれば、単に「坂の上の雲」の時代だけを描けばいいというわけではない。

『論語と算盤』は、買ってもっている。ドラマが終わったのを契機に、自分の目で考えながら読んでみたいと思う。「近代」という時代について、考えてみたいと思う。

さて、来年からは、『鎌倉殿の13人』である。時代劇エンタテインメントとして、どのような作り方になるのか、これも楽しみに見ることにしようと思っている。

2021年12月27日記