映像の世紀バタフライエフェクト「アインシュタイン 科学者たちの罪と勇気」 ― 2022-04-14
2022年4月14日 當山日出夫(とうやまひでお)
映像の世紀バタフライエフェクト「アインシュタイン 科学者たちの罪と勇気」
この番組でとりあげられていたテーマとしては、二つ。アインシュタインからはじまる。一つは、原子力のこと。もう一つは、金融のこと。
これまで、「映像の世紀」シリーズは、核開発については何度も取り上げられてきたと憶えている。答えは簡単ではない。原子爆弾の開発は、正しかったことなのか。アインシュタインは、晩年にこれに否定的であった。だが、世界の趨勢として、原爆などの大量破壊兵器の存在を抜きに、もはや平和を語れないことは確かだろう。
ただ、この番組で触れていなかったことは、原子力発電などのことがある。これは、時間の関係もあって、あえて触れることはしなかったのかもしれない。
そして、もう一つ、金融商品の理論的開発と、コンピュータの利用である。金融市場の破綻ということを、これまで人類は繰り返してきている。にもかかわらず、リスクを避ける金融取引の可能性を考える動きは止まらない。(これは、これまでの「映像の世紀」シリーズでは登場して来なかったテーマである。)
これは、核開発に歯止めをかけることができないのと同様に、金融市場へのAIの利用という流れも止めることは不可能なのかもしれない。しかし、その先に人類の幸福があるかどうかは、分からないとすべきだろう。
平凡な感想になってしまうのだが……科学者の社会的責任ということに、つきるのだろう。この場合の科学者というなかには、狭義の自然科学、いわゆる科学技術の分野にとどまらず、広く人文学、社会科学をふくめて、人間の知的営み、その本質にかかわる問題だともいえる。
ところで、日本の古典文学の分野で、近年話題になっている、「古典は本当に必要なのか」という議論。これも、広い意味では、人間の知的営みについてどうあるべきなのか、あるいは、人間とは何であるのかの認識と関係した議論であると、私は思う。歴史や文化についての問いかけもまた、これからの人間社会がどうあるべきかということの鏡像であるにちがいない。人文学にかかわるからといって、その社会的責任からのがれることはできないと思っておく必要があるかと思った次第である。
2022年4月12日記
映像の世紀バタフライエフェクト「アインシュタイン 科学者たちの罪と勇気」
この番組でとりあげられていたテーマとしては、二つ。アインシュタインからはじまる。一つは、原子力のこと。もう一つは、金融のこと。
これまで、「映像の世紀」シリーズは、核開発については何度も取り上げられてきたと憶えている。答えは簡単ではない。原子爆弾の開発は、正しかったことなのか。アインシュタインは、晩年にこれに否定的であった。だが、世界の趨勢として、原爆などの大量破壊兵器の存在を抜きに、もはや平和を語れないことは確かだろう。
ただ、この番組で触れていなかったことは、原子力発電などのことがある。これは、時間の関係もあって、あえて触れることはしなかったのかもしれない。
そして、もう一つ、金融商品の理論的開発と、コンピュータの利用である。金融市場の破綻ということを、これまで人類は繰り返してきている。にもかかわらず、リスクを避ける金融取引の可能性を考える動きは止まらない。(これは、これまでの「映像の世紀」シリーズでは登場して来なかったテーマである。)
これは、核開発に歯止めをかけることができないのと同様に、金融市場へのAIの利用という流れも止めることは不可能なのかもしれない。しかし、その先に人類の幸福があるかどうかは、分からないとすべきだろう。
平凡な感想になってしまうのだが……科学者の社会的責任ということに、つきるのだろう。この場合の科学者というなかには、狭義の自然科学、いわゆる科学技術の分野にとどまらず、広く人文学、社会科学をふくめて、人間の知的営み、その本質にかかわる問題だともいえる。
ところで、日本の古典文学の分野で、近年話題になっている、「古典は本当に必要なのか」という議論。これも、広い意味では、人間の知的営みについてどうあるべきなのか、あるいは、人間とは何であるのかの認識と関係した議論であると、私は思う。歴史や文化についての問いかけもまた、これからの人間社会がどうあるべきかということの鏡像であるにちがいない。人文学にかかわるからといって、その社会的責任からのがれることはできないと思っておく必要があるかと思った次第である。
2022年4月12日記
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