『鎌倉殿の13人』あれこれ「狩りと獲物」2022-06-14

2022年6月14日 當山日出夫

『鎌倉殿の13人』第23回「狩りと獲物」
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/23.html

前回は、
やまもも書斎記 2022年6月7日
『鎌倉殿の13人』あれこれ「義時の生きる道」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/06/07/9497636

『曽我物語』は、若いときに手にしたことのある本である。岩波の古い古典大系のなかの一冊である。文学史的には、中世の軍記物語のなかの一つということになる。また、「曽我物語」は、近世文学にも大きな影響を与えている。特に、歌舞伎などの理解には、「曽我物語」の知識は不可欠といってよい。

だが、これまで『曽我物語』を作品として、通読したということはない。手にして読んでみたことはあるのだが、どうにも、その筋が頭に入ってこない。背景となる人物関係、歴史的なことがらが、かなり複雑である。その予備知識がないと、どうにも歯が立たない。

『鎌倉殿の13人』であるが、この回は「曽我物語」に材料をとって、曾我兄弟の敵討ちを描いていた。思い起こしてみるならば、「曽我物語」をドラマのなかに組み込むことは、当初から予定されていたことなのだろう。ドラマが始まってすぐのころから、曾我兄弟の敵討ちにいたる伏線が仕込まれていたと思い出すところがある。

ただ、ドラマでも、その人物関係の背景を細かく説明するということはなかった。富士での巻き狩りにまぎれての、敵討ち、あるいは、謀反ということで描いていた。

見どころとしては、次の二点ぐらいだろうか。

第一には、巻き狩り。

これは、かなり大規模な撮影をこころみたものであろう。富士の裾野のあたりの平原で、巻き狩りが行われたとするならば、あんなものだったのだろうかと、想像力をめぐらせる展開であった。

どうでもいいことだが、これまでドラマを見てきて、後白河院の院のセットがどうにもショボいと思ってきたのだが、たぶん、予算の関係で、巻き狩りのところにちからをつぎ込んだためであったのかと、思ってしまうのだが、どうだろうか。

第二、頼朝と義時。

曾我兄弟の一件が終わったあとでの、頼朝と義時の話のシーンが興味深い。あるいは、頼朝は義時のことを疑っていたのかもしれない。しかし、義時を始めとして北条氏の存在がなければ、鎌倉殿はたちゆかない、このことを最も知るのも、頼朝である。そして、鎌倉殿がなければ、北条氏もありえないことを知っているのも、義時である。この意味では、共犯と言ってよいのかもしれない。

鎌倉殿の側にあって、権力の座にいる。このことに、義時は自覚的であろうとしている。

以上の二つのことを思ってみる。

これから、頼朝の死があるはずである。比企も粛正されることになる。実朝も死ぬことになる。このあたりにつながる伏線が、これまでに張りめぐらされていると感じるところがある。次週以降の展開を楽しみに見ることにしよう。

2022年6月13日記

追記 2022年6月21日
この続きは、
やまもも書斎記 2022年6月21日
『鎌倉殿の13人』あれこれ「変わらぬ人」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/06/21/9501938

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