『すべての月、すべての年』ルシア・ベルリン/岸本佐知子(訳)2022-07-09

2022年7月9日 當山日出夫

すべての月、すべての年

ルシア・ベルリン.岸本佐知子(訳).『すべての月、すべての年』.講談社.2022
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000353810

文庫版の『掃除婦のための手引き書』に続いて読んだ。

読後感としては、ありきたりになるが……大人が読む小説、というところになる。今、一般に文学、小説というと、どうしても若い人のためのもの、そして、登場する人物も若い人が多いのが、日本の有様だろうと思われる。そのなかにあって、このような小説……現代社会の中に生きる、市井の人びとの感覚、これを見事にとらえている。

無論、舞台は、アメリカであり、時代としてもちょっと古い。そのような違いはあるというものの、今の二一世紀の日本で生活している我々の生活感情のなかに染み込んでくるようなところがある。まさに、こういうのを文学というのだろう。

波瀾万丈の大活劇もいいが、じんわりと心の底から共鳴するところのある作品である。こういう本を読むとき、読書の楽しみというのを感じる。

2022年6月10日記

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