「風よあらしよ」(三)2022-09-22

2022年9月22日 當山日出夫

風よあらしよ 第三回

九月二〇日の放送。録画しておいて、後日にゆっくりと見た。

第一回については、
やまもも書斎記 2022年9月8日
「風よあらしよ」(一)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/09/08/9524352

第二回についてh、
やまもも書斎記 2022年9月15日
「風よあらしよ」(二)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/09/15/9526051

このドラマは、NHKがかなり頑張ってつくったという印象がある。伊藤野枝という人物は、これまで時々取り上げられてきていると認識してはいるのだが、やはり、大杉栄の方が有名かもしれない。あるいは、ひょっとすると甘粕正彦の方が、知られているといってもいいだろうか。

三回目で終わったことになるが、印象的なのは、関東大震災のときのことから、甘粕正彦による、殺害までという流れだろうか。このあたり、どの程度、事実に基づいている描写なのか、今の私には、分かりかねるところがあるのだが。しかし、関東大震災のとき、朝鮮人のことなど、かなり細かく描いていた。関東大震災は、これまで、多くのドラマなどで描かれてきている。NHKも何度も取り上げてきている。それらを思い出してみるのだが、朝鮮人のことを、これほど克明に描いたドラマは、めずらしいだろう。

ただ、三回目(最終回)まで見終わって感じるところを率直に記せば、左翼、アナーキズムの裏側には、右翼、ナショナリズムがある。現状の政治に満足しない、反体制的というところでは、あい通じるところが、相反するように見える主張の裏側には通底するものとしてある。このあたりの事情が、このドラマの描写は、一面的であったかと思うところがある。

ともあれ、大正時代を舞台にして、時代に先がけた人物……平塚らいてうもそうだろうし、伊藤野枝も大杉栄もそうである……としての、アナーキストを丁寧に描いてみせたということでは、意味のあるドラマであったと思う。

さて、本棚にしまったままになっているはずの、『伊藤野枝集』を探し出してきて読んでみようかと思う。

2022年9月20日記