『日本解体論』白井聡・望月衣塑子/朝日新書2022-10-15

2022年10月15日 當山日出夫

日本解体論

白井聡・望月衣塑子.『日本解体論』(朝日新書).朝日新聞出版.2022
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=23726

これは面白かった。白井聡の本は、いくぶんは読んでいるつもりである。はっきり言ってダメ左翼という印象しかない。だいたいにおいて、白井聡の本で言っていることは、現状の問題点の分析はまあまともなのだが、ではどう対処すべきかということになると、ダメになる。適切な現実的な処方箋が提示できていないのである。

まあ、この本でもそのきらいはないではない。ではどうすればいいのかとなって、自民党に投票することを止めればいい、という程度のことでしかない。これは、まったく何も言っていないに等しい。

が、ともあれ、全体としては面白い本であった。その主張するところの大部分は、共感できるものである。今日の日本社会の劣化というべき諸々の現象の指摘には、同意するところが多い。

特に興味深いのは、メディアの劣化論であろうか。このあたりは、対談の一方である望月衣塑子が新聞記者であるということもあって、政治をめぐる新聞、テレビなどの問題が、するどく指摘されている。そのなかにあって、良心的なジャーナリストというものが、皆無ではないということも言っていいことなのかもしれない。

ただ、ウクライナ問題になると、ちょっと議論が鈍くなる。このテーマについては、やはり、軍事と国際政治の専門知を必要とすることだと感じる。さらに言えば、このあたりの議論は、日本の左翼のダメさがよく分かる。

2022年9月28日記

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