映像の世紀バタフライエフェクト「ジェノサイド 虐殺と黙殺」2022-10-20

2022年10月20日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト ジェノサイド 虐殺と黙殺

ユダヤ人に対するジェノサイドをおこなった人びとは、同時に、フルトヴェングラーの芸術を愛好する人びとでもあった。

ナチスによるユダヤ人虐殺について、イギリスもアメリカも知っていた。おそらく、アウシュビッツで何が行われているかも、かなり知っていたにちがいない。しかし、それに対して実効的に何か行われるということはなかった。結局、ナチスの敗北を待ってのことになった。

この回で大きくとりあげていたのは、ナチスによるユダヤ人虐殺と、ルワンダでのこと。それ以外に、日本の原爆のことが出てきていた。また、今年(二〇二二)になってからのことして、ウクライナでの出来事がある。

おそらく、ジェノサイドということで取り上げるなら、もっと多くの事例があるにちがいない。ソ連で何がおこなわれていたか。あるいは、中国でいったい何があった、今、何が行われているのか。これらについて、番組で言及することはなかったが、おそらく国際社会としては、知っていた、ということになるのだろうと思う。

ともあれ、「ジェノサイド」ということばが、概念が、第二次世界大戦後になって新たに作られたものであることは意味がある。ことばがあって始めて人間は事態を把握できるものである。

国際社会における正義とは何か、強く問いかける番組であったと思う。

2022年10月19日記