『私たちはAIを信頼できるか』大澤真幸・川添愛・三宅陽一郎・山本貴光・吉川浩満2022-12-03

2022年12月3日 當山日出夫

私たちはAIを信頼できるか

大澤真幸・川添愛・三宅陽一郎・山本貴光・吉川浩満.『私たちはAIを信頼できるか』.文藝春秋.2022
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163915944

もとは『文學界』に掲載の文章。それをまとめて一冊にし、追加の文章を加えて編集したもの。

正直なところ、AIというような領域からは距離をおきたいと思っている。最新の知見、といっても普通に手に入る廉価な本というような範囲においてであるが、についていくのが、つらく感じるようになってきた。それよりも、昔読んだ古典というべき文学作品を再読したりして時間をつかいたい。

だが、そうはいっても、今の話題となっていることに興味関心がないわけではない。特にAIについては、言語研究という領域に限らず、そもそも人間が人間たるゆえんは何であるのか、ということを考えるうえで重要な事柄であるという認識は持っている。

この本は、もとが『文學界』に掲載ということもあるし、また、対談を基本とした読みやすい体裁ということもあって、読んでおくことにした。そして、執筆者が既存のアカデミズムの枠から離れたところで活躍していということも、AIについて幅広く考えるうえで、意味のあることかとも思う。

読んで思うことは、なるほどAIとはこのような問題提起をもたらすものなのか、ということの再認識である。人間とは、言語とは、共同体とは……いろいろと考えるところが多い。

この本の特徴としては、AI概論、AI入門ではなく、AIと人間についてのかなり高度で広範囲な考察となっているところであろう。概論、入門書ではなく、AIがこれから我々の社会のなかに存在するようになるとして、それは人間にとって何をもたらすものなのか、重要なポイントが分かりやすく説明されている。なかで重要なのが、「信頼」ということになる。これは、この本のタイトルが採用していることばであり、概念でもある。

「信頼」とは何であるのか、社会学的に重要なテーマである。人間が、「他者」とともにあるものである限り、「信頼」についての考察ははずせない。ここに議論のポイントを持ってきているところが、この本の優れているところと言っていいだろう。

巻末には、山本貴光と吉川浩満によるブックガイドがついている。これを読んで、これから、AIについて考えてみようという気にはならない(もう、私も若くはない)のであるが、気になった本については、手にとってみたい。

2022年11月27日記

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