『昭和史講義【戦後文化篇】』(下)筒井清忠(編)/ちくま新書2023-01-13

2023年1月13日 當山日出夫

昭和史講義(下)

筒井清忠(編).『昭和史講義【戦後文化篇 】』(下).ちくま新書.筑摩書房.2022
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480074973/

上巻につづいて読んだ。収録されている論考のタイトルだけ書いてみる。

戦後の木下恵介と戦争
『君の名は』と松竹メロドラマ
成瀬巳喜男
ゴジラ映画
サラリーマンと若大将
新東宝の大衆性・右翼性・未来性
『叛乱』
三隅研次と大衆時代劇
日活青春映画
東映時代劇
任侠映画興亡史
「幕末維新」映画
菊田一夫
少年少女ヒーローとヒロイン
東映動画とスタジオジブリ
長谷川町子、手塚治虫と戦後の漫画観
「平凡」と大衆文化
朝ドラ
被爆者・伊福部昭と水爆怪獣・ゴジラ

どの論考もかなり力をいれたものになっている。ただ、全体として、映画に偏っているという印象はいなめない。これは、編者(筒井清忠)自身が、映画史の研究もしているということと関連があるのだろう。

映画にかたよった編集であることは、意図的にそうしている。だが、そうではあっても、黒澤明と小津安二郎はわざとはずしている。これは、このような編集もあっていいと思う。しかし、であるならば、映画史として日活ロマンポルノを切り捨てることはないだろうと思うが、どうだろうか。

それにしても、昭和の戦後といっても四〇年以上になる。それを、映画を軸にまとめるのは、ちょっと無理があったのではないかと思われる。テレビのことがほとんど出てこない。まあ、朝ドラに一つの章を使ってはいるが。他にも大衆演劇、芸能、それから、少年少女漫画雑誌のことがほとんど出てこない。

ここは、【戦後編】のさらなる続編に期待したいところである。

2023年1月3日記