世界サブカルチャー史 日本 逆説の60-90s 第1回2023-03-09

2023年3月9日 當山日出夫

世界サブカルチャー史 欲望の系譜 シーズン3 日本 逆説の60-90s 第1回

このシリーズも日本編になった。第一回を見たところでいささか。

まず、なぜ60年代からスタートするのか、という素朴な疑問がある。一つには、その前の50年代も重要ではないか。特に映画などのことを考えるならば、50年代は重要な時期になるだろう。さらには、これまでの番組の作り方からして、西暦で区切るのはいたしかたないとしても、日本に限っていうならば、むしろ昭和30年代というような区切り方の方が、時代をうまく捕まえられるのではなかろうか。ただ、昭和の年代で区切るとしても、せいぜい次の40年代までだろう。それ以降は、西暦に従った方がいいようにも感じる。一貫性という意味では、60年代というくくりになるのかなと思う。

ただ、そうはいっても、その前の時代からの流れということは意識する作りにはなっていた。演劇、芸能について触れるとき、安藤鶴夫の名前を久々に目にした。私の学生のころには、まだ読まれる人であったと覚えているのだが、最近はとんと目にしなくなった。まあ、芸能関係の書籍など読まないということもあるだろうが。

一つ前の時代との連続性で重要なのは、貸本屋だろうと思う。貸本小説、貸本漫画ということの存在は、おそらく日本のサブカルチャーを考える上で意味がある。ここは、少年漫画雑誌に、貸本漫画出身の漫画家たち(白土三平など)が参入してきたということで、すこし触れられていた。

高度経済成長、安保闘争という、大きな面だった歴史では見えてこない、人びとの日常に即したところ、それをサブカルチャーという概念で、すくいとっていたと言っていいだろうか。それを象徴するのが、『おそ松くん』のチビ太のおでんということになろうか。

気になることとしては、「サブカルチャー」をあつかうのはいいとして、「ポピュラーカルチャー」(大衆文化)、また「カウンターカルチャー」との関連をどう描くのか。そこには、「メインカルチャー」とはどうであったかという議論にもつながる。

ところで、映画『乾いた花』は、映画館で見た。篠田正浩監督作品ということで見に行ったかと憶えている。加賀まりこが、まさに「小悪魔」ということばでしか言いようがない。番組では映らなかったが、この映画で印象的なのは、やはり賭場のシーンだろう。

任侠映画はあつかってあったが、ポルノ映画は出てこなかった。これは次回ということになるのだろうか(もし、あつかうとすればであるが。)ここは、やはり神代辰巳監督はあつかってほしいところである。

出演していたなかでは、松岡正剛の分析がなかなかのするどさを感じさせるものであった。

2023年3月7日記