『この世の喜びよ』井戸川射子 ― 2023-03-10
2023年3月10日 當山日出夫
井戸川射子.『この世の喜びよ』.講談社.2022
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000370361
芥川賞の受賞作である。
なるほどこの作品なら芥川賞もうなづける。なによりも文章がいい。詩情がある。このごろ、これほど詩情にあふれた文章というの珍しいのではないか。あつかってある題材は、現代の家族である。描きようによってはリアルにも、グロテスクにも、描くことができよう。それが、詩情にあふれた文章の魅力で、一息に読ませる力がある。
このような感覚で、ふだんの日常の世界を見ることができるのか。感じることができるのかと、認識を新たにする。特に新奇なことが書いてあるという作品ではなく、その世界の感じ方に共感できるかどうかという作品である。私の場合は、この作者に共鳴するところがかなりある。
文学とは、つまりは、世界を見る文体のことであると、割りきって考えることができるなら、この作品は、確かに一つの世界を構築している。
読んでいる途中、どうも作品のタイトルに違和感を持って読んでいったのだが、これも、最後まで読むと、なるほどこのタイトルであることに納得がいく。
2023年2月8日記
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000370361
芥川賞の受賞作である。
なるほどこの作品なら芥川賞もうなづける。なによりも文章がいい。詩情がある。このごろ、これほど詩情にあふれた文章というの珍しいのではないか。あつかってある題材は、現代の家族である。描きようによってはリアルにも、グロテスクにも、描くことができよう。それが、詩情にあふれた文章の魅力で、一息に読ませる力がある。
このような感覚で、ふだんの日常の世界を見ることができるのか。感じることができるのかと、認識を新たにする。特に新奇なことが書いてあるという作品ではなく、その世界の感じ方に共感できるかどうかという作品である。私の場合は、この作者に共鳴するところがかなりある。
文学とは、つまりは、世界を見る文体のことであると、割りきって考えることができるなら、この作品は、確かに一つの世界を構築している。
読んでいる途中、どうも作品のタイトルに違和感を持って読んでいったのだが、これも、最後まで読むと、なるほどこのタイトルであることに納得がいく。
2023年2月8日記
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