『街道をゆく 大徳寺散歩、中津・宇佐のみち』司馬遼太郎/朝日文庫2023-07-10

2023年7月10日 當山日出夫

大徳寺散歩

司馬遼太郎.『街道をゆく 大徳寺散歩、中津・宇佐のみち』(朝日文庫).朝日新聞出版.2009
https://publications.asahi.com/kaidou/34/index.shtml

もとは、一九八九年に「週刊朝日」連載。

司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズは、基本的に褒める文章でつづっている。まれに批判的な文言が出てきても、その多くは昭和の軍隊であったりである。この本の「大徳寺散歩」を読んで感じることは、大徳寺とその塔頭を禅寺として褒めて書いていることである。私の目で読んで、ちょっと褒めすぎではないかという感じがしないでもない。

だが、大徳寺を評価する視点の背後にあるのは、当時の世相、今でいうバブル景気への批判的眼差しと言っていいだろう。浮かれた世のなかにあって、観光地化することを拒否し続けている、大徳寺がたっとく思える。

「中津・宇佐のみち」で言及されるのは、宇佐八幡、黒田官兵衛、それから、福澤諭吉である。司馬遼太郎が、福澤諭吉を書くとこんなふうに評価することになるのかと、これは興味深いところがある。その合理的精神のゆえんを、「自伝」に読み解いている。

2023年7月2日記

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