雑談「昭和」への道「第五回 明治政府のつらさ〜軍人勅諭〜」2023-09-28

2023年9月28日 當山日出夫

司馬遼太郎 雑談「昭和」への道「第五回 明治政府のつらさ〜軍人勅諭〜」

この回は軍人勅諭をめぐって。

軍人勅諭については、今ではアジア歴史資料センターのデジタルアーカイブで見ることができるようになっている。

印象に残ることとしては、司馬遼太郎の明治維新についての考え方、近代天皇制の成立について、そして、それが昭和になってどのように変質していったのか、というあたりだろう。いわゆる司馬遼太郎史観ということになる。明治という時代を肯定的に考える対極に昭和を否定的に考える。

このあたり、現代の歴史学ではどのように考えられているのだろうかと思う。明治という時代も、そんなにいい時代ではなかったことになるだろうか。

この回の話しのポイントとしては、明治になって作られた軍隊がどのような過程を経て天皇の軍隊になり、さらには、統帥権がからんで軍隊の専横がはじまったのか、ということになるだろうか。

『坂の上の雲』の作者である。やはり明治という時代を明るく肯定的にとらえたいという気持ちが伝わってくる。それは、昭和の暗い時代を体験した司馬遼太郎ならではの思いということになる。なぜ司馬遼太郎が、このような明治についての考え方を持つようになったのか、ここのところを読みとっておく必要があるかと思う。

軍人勅諭の一人歩き、統帥権、これもまた昭和という時代の暗さということになる。

2023年9月24日記