100分de名著「“シャーロック・ホームズスペシャル” (4)人間性の闇と光」2023-10-03

2023年10月3日 當山日出夫

100分de名著「“シャーロック・ホームズスペシャル” (4)人間性の闇と光」

探偵小説、推理小説、ミステリ……というジャンルの文学は、何故生まれたのか、読者はそれに何を求めるのか、これはこれとしてとても興味深いテーマである。

個人的な思いを書いてみるならば、探偵小説は何よりも論理で謎を解きあかすところに、その存在意義がある、というのが、まず思うところである。ホームズの作品は、中学生のころから読んでいる。その時に魅力であったのは、何よりも論理で考える文学だということになる。

その後、いろいろと読んできた。高校生のころは、日本では、いわゆる社会派ミステリの全盛期であった。同時にそれに対する反動だろうか、江戸川乱歩や横溝正史などがはやった時期でもある。そして、大学生になったころに、日本では新本格という作品群が登場することになる。

今でも楽しみの読書としてミステリを読む。毎年、年末のベストが発表になるころには、特に海外の翻訳作品は読むことにしている。

このごろ感じることは、特に英米のミステリに佳品が多い。ミステリとしての論理の完結ということと同時に、人間と社会が描けていると感じる作品が多くある。日本のミステリとくらべるつもりはあまりないが、その文学的芳醇さは、背景にある文学的伝統と無縁ではないのだろうと思っている。

ミステリが人間をどう描くのか。その問いかけが、ホームズの作品のなかにも見いだせることになる。人間を描く文学としてのミステリの魅力である。

2023年9月28日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2023/10/03/9622491/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。