ザ・バックヤード「国立民族学博物館」2023-10-20

2023年10月20日 當山日出夫

ザ・バックヤード 国立民族学博物館

この回は、みんぱく、である。

私が、パソコンを国語学の研究につかいはじめたころ、ところどころで関連の研究会があった。人文系の研究分野においてコンピュータをどう利用していくかについての、試行錯誤の時代があった。まだインターネットなどが普及する前のことである。

そのような研究会のいくつかで、国立民族学博物館について発表をかなり聞いたと憶えている。主に、その収蔵品の管理システムにコンピュータをどう利用するかという観点からのものだった。国立民族学博物館は、人文系の研究機関のなかでは、コンピュータの利用については、かなり早くからとりくんできた機関である。他には、国立国語研究所などの存在もあるが。

この当時のことだから、使っているのは大型計算機。個人で使うパソコンとは、雲泥の機能の違いがあった。それでも、人文学系の研究資料をコンピュータでどうとりあつかうかについては、先駆的な試みの一つだったかと、今になって思い出す。

さて、今の国立民族学博物館の収蔵品管理のコンピュータのシステムはどのようになっているのだろうかと思う。

また、別の観点から見ると、国立民族学博物館は、梅棹忠夫の『知的生産の技術』(岩波新書)を基本に、それを巨大化したものと言えるのかもしれない。私の学生のころ、いわゆる京大型カードの全盛期であった。

このころ、パソコン用のソフトとして、京大型カードをそのまま模したようなものが多く登場した。が、それもいつの間にか消えてしまった。

番組では、上記のようなことは出てこなかった。バックヤードというよりも、博物館の展示の紹介が主だった。これはこれとして、面白かった。興味深かったのは、戦前のレコードの原盤が残っていること。日本の「草津節」を、朝鮮や台湾の人びとのためにアレンジしたものだったが、こんなものがその当時作られていたのかと、興味深かった。

すこしだが、文化人類学研究のフィールドの現場が紹介されていた。研究の現場というのは、なかなか大変である。

2023年10月19日記