『どうする家康』「天下人家康」2023-10-23

2023年10月23日 當山日出夫

『どうする家康』第40回「天下人家康」

この回で描いていたのは、三成の失脚と家康の台頭、ということになる。

歴史ドラマで石田三成を描くと、律儀で真面目な人物ということになるようだ。実際にどうであったかは別にして、これまでの大河ドラマなどで登場してきた三成は、豊臣への忠誠をつくす真面目な人間として描かれてきたかと思う。

このような石田三成のイメージが、どのようにして形成されてきたのか、ということもまた、面白いテーマではないだろうか。

それにしても、徳川家康も変わったものである。このドラマが始まったときは、小心者、臆病者であった。ウサギであった。だが、それもこの回になると、堂々と嘘をつく。タヌキである。オープニングの場面でも、ウサギの後にタヌキが出てきた。

歴史の流れとしては、この後、関ヶ原の合戦ということになるはずである。そこにいたるプロセスを、家康を軸にどう描いていくことになるだろうか。

昔、高校生のとき、日本史の勉強で、五奉行、五大老というのが出てきたのを思い出した。確か、これは憶えたはずだが、今では忘れた部分もある。

集団指導体制ではうまくいかず、三成に人心掌握の才能はなく、結局は、リアルな武力を握ったものが覇権をとることになる、まあ、このようなことになるのだろう。このあたりを、家康の人物像とからめてどう描いていくかが、これからのこのドラマの見どころと言っていいだろうか。

次週以降、三成と家康の確執はつづくようだ。楽しみに見ることにしよう。

2023年10月22日記

「わが娘を手放した日 中国 “一人っ子政策”のその後」2023-10-23

2023年10月23日 當山日出夫

BS1スペシャル わが娘を手放した日 中国 “一人っ子政策”のその後

見ていろいろ思うことはある。

中国で一人っ子政策が行われていたことは知っていた。その結果、中国の人口構成が、男性が多く、女性が少ないといういびつな形になってしまっていることは、よく言われることだと思う。が、その背景に、女の子が生まれたら棄ててしまうということが行われていた。そして、国際養子縁組で、数多くの子供が国外に出て行った……このことは、ほとんど報じられてこなかったことである。

想像してみるが、生まれた子供を孤児院の前に棄てるというのは、まだましな方だったのかもしれないとも思うが、実際はどうっだのだろうか。番組では、このところについては、触れていなかった。

子供を産んだだけで、罰金のために年収の数倍におよぶ借金を抱え込むことになる。

番組の趣旨とはあまり関係ないことで興味深かったのは、中国の農村の生活である。男尊女卑の価値観が残り、農家の嫁(日本風の言い方になるが)の立場は、後継ぎの男の子を生むことにある。経済的にも豊かとはいえない。農業をしながら、建設業の日雇い労働をしているという父親。時分が建設にかかわったショッピングセンターにも入ったことがなかったという。その生活の様子も、決して裕福とは言えないようである。

テレビのニュースなどで、現代の中国の様子が映るとき、その多くは都市部のものである。農村の生活がどんなものか、報道などで出てくることはほとんどない。特に、最近では、不動産不況で建設の止まった高層マンションなどが映し出されることが多い。

さらにまったくどうでもいいようなことかもしれないが、番組の終わりのところで、アメリカに帰る実の娘に父親がお金を渡していたシーンが、印象的である。番組としては、感動的な場面というべきなのだろうが、興味深かったのは、今の中国でも現金(紙幣)を使っているということである。一般に、中国は、キャッシュレス社会になっていると言われている。買い物などは、スマホ決済で出来る。しかし、最後の場面では、現金を手渡していた。持っているお金を全部渡していたようだ。

これは、あるいは演出なのかとも勘ぐったりもするところもあるが、はたして今の中国、その農村地域において、お金というのはどうなっているのだろうか。

貧しい農村の中をはしる、最新の高速鉄道というのは、いかにも今の中国と言っていいのかもしれない。

なお、中国は一人っ子政策を止めている。二〇一五年。しかし、歴史人口学の見知からするならば、国が経済的に豊かになり、女性の教育水準があがると、必然的に子供の数は減少する。これから中国は、それまでの一人っ子政策の影響もあり、人口減少に転じると考えられている。一人っ子政策の時代に生まれ、海外に養子として渡った子供たちは、ある意味では歴史の犠牲者と言えるかもしれない。

番組の製作にかかわっていたのは、テムジンだった。

2023年10月20日記